赤い糸は二人の小さな小指を結ぶ きっと出会うずっと前から僕達は結ばれる運命だったんだ。 運命の赤い糸 ミッションをこなし疲れ切った体を休める為に愛用している公園のベンチ。 夕方は冷えるので買った服を体に纏ってうたた寝していると、急にそれが取り払われて冷たい風が肌を掠めた。 まだ半分夢見心地のまま眠たい眼を擦って相方の方を見ると、突然無表情の彼に胸倉を掴まれた。 ああ、またかよ… 左頬に強い衝撃を感じたと思ったらさっきまで足元にあった地面がもう目の前だった。 「何さぼってるの、ネク君」 左頬が次第に強い痛みを訴えてきて寝惚けた頭がクリアになっていく。 黙って立ち上がり体に付いた砂を払っていると、今度は反対の頬に一発くらってしまった。 再び倒れた俺の上にヨシュアが跨って、逃げようとしたけれど体重を掛けられてしまったので無理だと悟った。 「何黙ってるの」 ヨシュアの機嫌が悪い時はもう何を言っても無駄だと学習している俺はなるべく目を合わせずにただただ時が過ぎるのを待った。 その態度が無視しているように見えたのだろうか、ヨシュアは小さく舌打ちをすると俺の髪の毛を掴んで無理矢理目を合わせようとする。 「フフっいい態度だね」 ぐったりしていた俺の横っ腹を蹴飛ばされて体がうつ伏せになると後ろから腰を持ち上げられてしまった。 「え、何っ」 急な展開に思わず腰が引いてしまう。 苦痛なら我慢すればいいんだけれど、屈辱には慣れていないから耐えられるかな、俺。 いつも暢気なヨシュアが時折見せる暴力的な衝動。 散々俺を痛めつけて衝動が落ち着くと酷く悲しそうに俺の体を抱きしめる。 最初は馬鹿にされているのかと思ったけど、俺を抱きしめる冷たい指が震えていたからそれからもう何も言えなくなった。 一種の突発的な病気みたいなもので多分本人もどうしようもないんだろう。 抵抗なんて出来なかった。 だってその衝動はいつもこいつを一人にした時に起こるから… さっきも俺が寝ている間ヨシュアはずっと一人で起きていたんだろうな。 仕方がないと諦めていると後ろから頭を地面に押さえつけられて、ベルトを外されたと思ったらハーフパンツと下着をずり下ろされる。 「ちょ、やめろっ…」 這って逃げ出そうと思っても腰を強い力で引き戻されてしまった。 「やめないよ」 ヨシュアの前に尻を突き出して、こんな格好耐えられない。 俺の体だけじゃなく心まで傷付ける気かよ… 晒されたアナルを無理矢理指で広げられて出来た隙間にヨシュアが亀頭をぐりぐりと押し付ける。 当然入るわけもなく諦めたかと思いきや入り口を適当に唾液で濡らして強引に押し込まれた。 「いってぇ!あ、」 裂けるような痛みを感じてつい体が強張りヨシュアをきつく締め付けてしまう。 「痛…あんまり力入れないでよ」 ヨシュアの爪が尻の肉に食い込んでいく。 余計な事するからまた俺の体が固くなった。 中々スムーズにいかないセックスがまたヨシュアを苛立たせてその被害が俺にきた。 後ろから髪の毛を引っ張られて仰け反った首に冷たい指が這っていく。 「っ…やめろって」 何をされるかなんて明らかだったから思い切り首を振ってみたけど容赦なく呼吸の気道は塞がれていった。 「う…ぐ」 俺が生死の境を彷徨っている間にヨシュアは俺の穴を好き勝手に使って気持ち良くなっている。 段々と動きがスムーズになってきたからきっと出血して血液が滑りを良くしているんだろう。 痛くて堪らない筈なのに全神経は呼吸する方に集中しているみたいで最早痛みどころじゃなかった。 酸素が薄れてきて頭がぼうっとしてきた頃アドレナリンでも出ているのか気持ちいいとさえ感じてくる。 「うっ…ハァっ…」 やっと首を解放されたと思ったら今度は俺の腰を強く掴んで激しく奥まで突かれた。 俺の口から出るのは咳と突かれる衝撃から生まれる呻き声だけ。 当然股間は萎えきっている。 ひたすら早くイってくれる事を願っているとヨシュアが俺の中から居なくなり、ほっとしたのもつかの間急に体を反転させられて髪を掴まれた。 目の前に勃起したペニスとそれを扱く白い手。 先端は当然俺の顔に向けられていた。 「なにす、うわっ!」 瞬間顔に熱いヨシュアの精液が勢いよく降りかかってきた。 さらさらしてて量も少ないのがなんかヨシュアらしいな、なんて思ってしまう精神的な余裕はまだあるらしい。 「はぁ、すっきりした。」 ヨシュアは着衣を整えながらポケットティッシュで汚れた性器を拭取ると特に俺を気にかける事無くベンチの腰を下ろした。 殴られて泥まみれで精液まみれになりながら何で俺こいつの機嫌なんか取ってるんだろう。 馬鹿みたいだな。 本当、俺だけこんなに好きで馬鹿みたいだな。 痛くてだるくて言う事を聞いてくれない体を引きずって、黙って水飲み場まで辿り着いて顔と体を洗った。 ヨシュアはまだ不機嫌な顔をしている。 きっと俺の反応がつまらなかったんだろう。 これ以上俺にどうしろって言うんだよ… 俺が一通り身だしなみを整えるとヨシュアが冷めた声で一言。 「音操って変な名前だけど、なんか面白いからつい呼んじゃうんだよね」 「…そっか」 素っ気無い反応が気に食わないのかヨシュアは続ける。 「ネク君って頭悪そうだよね、暗いしダサいし、友達いないでしょ。」 体を傷付けても物足りないのか今度は言葉の暴力が始まる。 俺に嫌われたい訳じゃなくてきっと構って欲しいだけ。 寂しがり屋で人と関わるのが不器用で、可哀想な奴。 羽狛さんや他の人達と接している時のヨシュアからは想像もつかない一面、 きっと知ってるのは俺だけ、 ここに居るのは俺だけのヨシュア。 こんな程度でお前の気が晴れるなら俺はいくらでも黙って耐える。 耳を塞ぎたくなるような罵声が終わると更に眉間に皺を寄せてヨシュアが近付いてくる。 俺も不器用な人間だから黙っている事しか出来なくて余計に怒らせて、 ごめん。 「さっきから無視して、馬鹿にしてるのかい?」 それからまた服を掴まれて何度も何度も頬や頭を殴られた。 顔の横で肉のぶつかる音を聞きながら薄っすらと目を開けると、ヨシュアの瞳が悲しげに揺れているのが分かった。 そんな顔をするから胸がぎゅっと締め付けられて、殴られてる痛みなんかよりずっと辛くなる。 「ごめ…ん、わるかった、よ…」 息絶え絶えに俺がぽつりぽつりと呟くとやっとヨシュアの手が止まる。 片膝を地面に着いて俯くと鼻血がぽたぽたと落ちて地面に赤い模様を描いていった。 慌てて手で押さえると俺の手は真っ赤に染まり、丁度目線の位置にあったヨシュアの手も同じように俺の血で赤く染まっている。 丁度お互い、小指の辺り。 滴る血液が幾つもの筋を描いてまるで、赤い糸。 頭がぼうっとして、覚束ない世界の中でそんな事を考えているとヨシュアが俺に縋り付く様に抱き着いてきた。 やっぱり震えてる、顔は見えないけど泣いてる。 本当に何でこんなどうしようもない奴好きになってしまったんだろう。 確認するように自分の手を見てみると、そこから続く赤い筋はヨシュアの背中を汚して二人をどんどん赤色に染めていく。 そうか、赤い糸で結ばれていたんだな。 道理でどんな酷い事されても嫌いになれない訳だよな。 昔どこかで聞いた赤い糸伝説。 糸を手繰ってたどり着いた相手が気に入らなかった男は、相手を半殺しにして数年後とある美女と結ばれる。 その女は実は昔半殺しにした相手で頭部に大きな傷を持っていた。 結局二人は結ばれる運命にあった。 男は激しく後悔をして一生その女を愛した、とかそんなの。 俺がこいつに殺されたのも、殴られてるのもきっと赤い糸で結ばれている所為なのかもしれないな。 「…ネク君、僕の事きらいでしょう」 震える声、可愛いとさえ思ってしまう。 「嫌いなわけ、ないだろ」 「じゃあ呆れてるかい?」 「だから、違うって、どっちかって言うと、すきだな…」 勇気を出してその言葉を口にするとヨシュアが目を丸くして俺をじっと見据えた。 「…うそ」 「嘘じゃないって、仕方ないだろ、好きなんだから//」 「うそ、信じないよそんなの」 そう言ったヨシュアの顔からはすっかり狂気が抜けていていつもの穏やかな笑顔に戻っていた。 俺だけしか知らないあの顔も好きなんだけど、 やっぱりこっちの方が素敵だ。 血だらけの顔を洗い流して手元を見るともう糸は消えていた。 「ねえ、ネク君は僕と居て嬉しいのかい?」 「うるさいな、だから、嬉しいって//」 「どうしたらもっと嬉しいの?」 なんて不器用で可愛らしい事を言うんだろう。 胸が詰まりそうになる。 「そのままでいいよ、お前らしいし。そこがいい」 すると普段みたいにヨシュアがちょっと甘えた声でネク君って名前を呼んだ。 何だよ、って振り返ったら抱きしめられてキスされた。 順番がおかしいけどファーストキス。 優しくて熱っぽくて、 なんてドラマチックな展開、きっと一生忘れない。 ああ、きっとその内また何度も殴られるんだろうけど、 その度に俺は赤い糸を確認する。 二人はきっと結ばれる運命なんだって胸をときめかせながら。 END 最近甘いもの続きだったのでちょっとシリアスにしてみました! でも結局最後甘いんだよね、本当に私はネクに甘い気がする。 ずっと暖めてたDVネタ(笑) 鬼畜じゃなくてDVてとこ強調しときます! DVは切ないです!痛い愛ですが深い愛なんですよ… ヨシュアはネク君の愛し方が分からない寂しい子だというお話。 今回のネク君は妙に大人でやっぱり恋する乙女です(笑 最後まで読んで下さって有難うございました!!