俺の肌に触れる指先はいつも冷たい、でも、 俺の口を塞ぐ唇も、俺の中を掻き乱す性器も熱くて、火傷するのが怖くて、 それが情熱だと気が付かない振りをしていた。 大嫌いな君へ愛の花束を 「ん、ネクくん…」 「っ…う…」 どうせRGの人間には見えないと思いやがって、でも路地裏で、外で、俺だけ全裸にされて壁に手付いて挿入とかどんな神経してるんだよ、 お前も、俺も。 ミッションも終わって普通に渋谷をぶらぶらしていたら突然こいつが発情して、 そうなるともうコイツ我がままだから、何言っても聞かないから、だから仕方なく付き合ってやってるんだ。 パートナー解約されたら困るし、消滅するよりはましだから、だから仕方無いんだよ。 ヨシュアは俺に突っ込んで腰を振りながら、俺の肌を優しく撫でたり、色んな所にキスしたり、手コキまでしてくれる。 たまにフェラだってしてくれる。 「ねえ、ネク君不感症?」 「…普通感じるか?男に触られて」 毎回渾身の愛撫を施しても精々半立ちにしかならない俺に、ヨシュアは最終的に不機嫌になる。 今日も大きく溜め息を吐くと、俺の中でラストスパートをかける。 いきなり激しくするから準備出来てなくて、体が強張った。 後ろから思いっきり抱き締めてきた腕が珍しく熱くなってて心臓が早くなった。 俺多分今相当苛々してる。 当たり前だ、こんな風に女の代わりみたいにさせられて、もうセックスするの何回目だろう。 する度に苛々が増して、今ではこいつの事、嫌いが大嫌いになった。 「っ!…ネクくん…」 俺の中でイきながら名前なんか呼び出すものだから、心臓が震えるほどイラついた。 名前とか呼ぶな、ウザい、その声で俺の名前聞きたくない。 やっと終わったと思ったらキスなんかしようとするから、突き飛ばしてやった、こいつは目を見開いて傷ついた顔をして地面に尻餅をついた。 ちょっとはすっきりした、筈なのに苛々は胸が痛むようなずきずきしたものに変わっていった。 「気が済んだか?」 「ネク君、冷たい。本当に淡白だね」 「お前なんかで興奮するかよ、おかしいだろ、男なのに。」 「…そうだけど。」 ヨシュアは服に付いた汚れを払いながら「仕方ないね」と寂しそうに笑った。 そうして直ぐまたいつもの飄々とした態度で俺を買い物に連れまわした。 路地裏での顔からいつものコイツに戻る瞬間。 今のヨシュアはそんなにイラつかない、路地裏でのヨシュアは大っ嫌いだ。 俺に触れるヨシュア、キスするヨシュア、俺の名前を呼ぶヨシュア、全て嫌いだ、どうしてそんなに俺の中に入ってくる。 心がコイツを拒んで、悲鳴上げてる。 「…ねえ、こことか、気持ちよくない?」 下半身裸で両足広げさせられて、なんて屈辱的な格好、パートナーじゃなくなったら絶対殺してやる。 ヨシュアは俺にフェラしながらアナルに指突っ込んで、何やら中をまさぐっている。 「っ…意味、わかんねぇよ」 腸の中触られて気持ちいいとか、俺変態じゃない。 フェラされても相手がこいつだと思うとやっぱり半立ちにしかならない、女の子だったらもっと気持ちいいのかな、くそっ、俺の初めて全部奪いやがって。 初めてなんて一生に一度しか無いんだぞ、もう絶対に返ってこないんだ、本当にむかつく。 ムカついたら急に体の奥の方がちりちりと熱くなるような感覚がして、ムカつく通り越して本気で俺怒ってるみたいだ。 その証拠に顔まで熱くなって、怒りで震える手をぎゅっと握って、ヨシュアが行為止めるのを黙って待った。 何か言いたくなってしまうから唇をぎゅっと噛んで、ただ苛々しながらヨシュアが飽きるのを待った。 「あーあ、僕上手い方だと思ってたのにな、自信無くすよ、全く」 ヨシュアは詰まらなそうにそう低く呟いて、俺の中から指を抜いて変わりにペニスを突っ込んだ。 「っ…う…」 流石にこの圧迫感に呻かずにはいられない、こんなに嫌そうな顔してるのに止めないとか、人間性疑う。 今日は正常位で抱かれて体が密着するし、こいつの熱い息が顔にかかってキモいから、かなりイラつく。 俺の顔を熱っぽい瞳でじっと見てくるから、やっぱりキモいから顔を背けた。 あんな目をずっと見ていたら俺の精神崩壊しそう。 あーもう、嫌いすぎて涙まで滲んできた。 どうせ明日で七日目、明日で最後だし、頑張ろう俺。 「もうこれで最後にするよ」 ポークシティの暗い階段で最後にすると言いながら、ヨシュアは俺の服を脱がせていく。 全裸にされたと思ったら、こいつまで服脱ぎだした。 肌と肌が触れて、汗で余計に密着して、いつも指先だけは冷たい癖に、何故か今日はすごく熱かった。 いつもよりもヨシュアを感じて、逃げ出したいほど嫌だった。 眩暈がしそうで目を閉じると、顔が見えない所為で少しだけ落ち着いた。 本気で最後と決めているからなのか、ヨシュアはいつもよりも長いキスをして、丁寧に、丁寧に俺に触れる。 最後、と言う言葉がぐるぐると俺の頭を回っている。 やっとこれで解放される、これで最後、最後。 イラつきが積もり積もって、今日は半立ちにすらならない。 ヨシュアがじゅぷじゅぷ音立てながらフェラしてくるけど、もう俺全く反応しない、ざまーみろ。 それでも今日は悪態つかずに、ヨシュアは愛しそうに俺を見詰めると、抱き締めながら正常位で挿入してきた。 「ネク君が、好きなんだ、好き、大好き、ごめんね」 急にそんな事を言いながら俺の中を行き来する。 そんな事言われたの初めてだから、もう色んなストレス限界で涙にじんできた。 俺がどんな想いで、どんな、どれだけ… 俺は何も言わない、勃起すらしない、ただ黙って何時もみたいにコイツを受け入れて今日もこの行為は終わる。 「ネク君さ、いつも何だかんだ言っても大人しくやらせてくれるし、実は僕の事好きなんじゃないかって思ってたけど…」 そう言いかけてヨシュアは黙った。 何かを期待したような、もの欲しげな目をしてじっと俺を見詰めて 俺も言ってやりたい事が山ほどある、イラつく、ウザい、嫌いだって、お前なんか大嫌いだって。 「…行こうか。」 「…ああ」 結局何も言えなかった俺は、痛くて張り裂けそうな胸を押さえながら屋上への階段を一段一段上る。 あと一段上ったら、言ってやろう、大嫌いだって、お前なんかこのまま消えてしまえって。 でも一段一段上るにつれ、イラついて、悲しくなって、でも気付きたくなくて、こんなの、まるで… そしてヨシュアは本当に消えてしまった。 俺はこの時初めてヨシュアにイラついた。 俺の心と体をこんな風にして、勝手に居なくなってしまうなんて。 ヨシュアが憎い、こんな気持ちは初めてだった。 じゃあ今までのイラつきや、怒りは、何だったんだ。 胸がどきどきして、触れられた体が熱くなって、緊張して目も見れなくて、いつも泣きそうで、胸が痛くて、でもどこか優しくて。 それがずっとイライラしてると思ってた、だって恋なんてした事も無かったし、人を好きになる気持ちがこんなに痛くて切ないなんて知らなかったんだ。 自分の気持ちに気付く暇もなく俺は体だけ奪われて、何をそんなにお前は急いでたんだよ。 最後の方、どんどん胸の苦しさが増して、いい加減俺だってお前に恋してるんだって、でも気付づかないように自分に嘘ついて。 溺れるのが怖くて、もし失ってしまったら、そう思ったらいっそ人なんて好きになんかならない方が、そんな風にどっかで自制していたんだ。 ヨシュアに抱かれている時はいつも死にそうなくらい緊張して、そんなの感じてる余裕なんかある訳ない。 俺はヨシュアに好きとも嫌いとも言った事がない、ただ黙って人形の様に抱かれていた俺、それでもあいつは俺を好きだと言った。 俺はそんなあいつが、 「…だいきらい、だっ…」 屋上の風に吹かれながらやっと言えた大嫌いは、切なくて涙の味がした。 END 超ツンなネっ君の話。 こんな短い話初めて書いたww ネクの大嫌いやイラつくを好きに置き換えて、イライラするをドキドキするに変えて読むとネクの本音が分かります。