「帰るぞ、ソラ」 相変わらず仏頂面のリクがHR終了と共に俺の腕を引っ張って急かしてくる。 何だか分からないけど急いでいるみたいだ。 「う、うん。」 急いで鞄持って教室を出ようとしたら出入口を担任に塞がれてしまった。 「ちょっと待てソラ、お前は今週トイレ掃除だろ〜。」 「え?!」 そう言えば先週授業中の居眠りが酷いからって罰としてそんな事言われたような… ついでにもう一人遅刻魔も一緒だったような気がする。 「サボるんじゃねぇぞ!後でチェックしに行くからなぁ」 担任の羽狛がサングラス光らせてニヤついている。 一瞬掃除したふりして逃げてやろうかと思った事見透かされてる気分だ。 「う…ごめんリク。急いでたら先帰っててもいいよ?」 「仕方ないな、待っててやるから終わったら電話しろよ」 リクは大きく溜め息をついてどこかへ行ってしまった。 なんかまだ機嫌悪そうだし、こんな空気なら先に帰ってくれて良かったのに。 一週間トイレ掃除な上にリクとの微妙なわだかまり。 溜め息をつきたいのはこっちだ、なんて思いながらトイレ掃除に向かった。 俺の担当になったトイレはあまり使われてない北校舎の一階。 何かの準備室ばかりで授業が終わったこの時間は人気なんて殆んどない。 「はぁ…」 薄暗くて静かなトイレにホースで水をまく音が虚しく響く。 壁には4ねとかヘクトパスカルとか訳の分からない落書きがあって余計に陰気な気分にさせる。 投げやりな感じで適当に水を撒いていたら丁度入り口の方にホースを向けた時に突然人影が現れた。 「わ!ちょっと、何するんだい?」 「わぁっ!ご、ごめんっ!」 そこには思いがけない人物がびしょ濡れになって立っていた。 絶対サボりだと思ってたのに、意外すぎる。 「もう、びしょ濡れだよ。」 「ごめん!俺の制服貸すからっ!」 「全く、羽狛さんは見逃してくれないし、水はかけられるし」 明らかに不機嫌な顔してヨシュアはわざとらしく溜め息をつく。 こんな陰気な密室で空気まで悪くなってもう俺帰りたい… ヨシュアは濡れた制服のシャツを脱いで上半身裸になると雑巾みたいにシャツを絞って水気を切っていた。 真っ白い肌に意外に肉付きのいい体、良く見ると胸の辺りに不自然な赤い痕がいくつかついてる。 その痕がキスマークだと気付いたら何だか見てはいけないものを見てしまった気がして、同時に昼休みのネクとの合体シーンが蘇ってしまった。 「なに見てるの?フフ、顔赤いよ童貞くん」 「んなっ///」 童貞って言葉にリアルに反応して更に顔が赤くなっていくのが分かる。 「制服貸してくれるんでしょ?それ脱いでよ」 ヨシュアは挑発的に微笑みながら俺のネクタイを解いてそのままボタンを一つ一つ外していく。 制服貸すだけなんだけど、ヨシュアが放つ雰囲気が妙にエッチで俺は胸をドキドキさせながら暫く固まって器用な手付きを見ていた。 「フフ、女の子みたいな胸」 「えっ?なっ何してんだよ//!!」 全開になった胸をヨシュアの冷たい指がなぞっていく。 乳首を指でつつかれてくすぐったくて思わず女の子みたいに両手で胸を隠した。 「っ//!!止めろよ!へっ変態!!」 「フフ、君がそんなに童貞臭いから彼も触れてくれないんじゃない?色気が無さすぎるんだよソラ君は。」 「えっ…何でそんな事…」 突然俺の悩みを直撃されて一気に不安で一杯になった。 男に色気なんて考えた事無いけどこんなヨシュアを見ていたらリクが俺に触れて来ないのも少し納得してしまう。 「君達二人を見ていれば分かるよ、どっちも童貞臭いんだもの。」 「ど、童貞童貞って言うな!」 「フフ、教えてあげようか、色気が出る方法」 「え?」 胸の前でクロスしてる俺の腕をヨシュアに取り去られて再び乳首を指で触られる。 「っ…そこ、くすぐったいって…」 いつの間にか乳首が固くなっていて段々ムズムズするような変な感覚に変わっていった。 背徳感を覚えつつも、リクに構って貰いたい一心と目覚め始めた快感に捕らわれてヨシュアを突き放す事が出来ない。 「ふ、あ…やめてよ…」 両方の乳首を触られながら首筋を舐められてゾクゾクするような快感で身震いした。 羽織る程度になっていたシャツは奪われてしまい、ヨシュアは邪魔そうにそれをトイレの床に放り投げた。 「あ!何すんだよっ、俺の制服〜!」 水浸しの床に落ちた制服は水気を吸ってどんどん暗い色に染まっていく。 「フフ、さっきのお返しだよ」 ヨシュアは意地悪に笑いながら何やら俺のベルトを外している。 「ちょ、こら!どこ触る気だよ!離せって!」 「こんなに立ってるのに本気で止めていいのかい?」 「え?あっ…」 ズボンの上から見て分かるほど俺の股間は勃起していてヨシュアは布越しにそこを撫でるように触ってくる。 今朝のたまらない快感を思い出した俺は思わずヨシュアにしがみ付いて引き出される快楽に酔いしれていた。 「気持ちいいのかい?フフフ、可愛いいね」 「はぁ…ぅ…」 気が付いたらもっと触って欲しくてヨシュアに体をぴったりくっ付けていた。 ベルトを外されて隙間に冷たい手が侵入してパンツに手を突っ込まれて直に触れられる。 「ぁ…ん…」 「君でもちゃんと色っぽい顔出来るんだね。」 初めて他人に触れられる快感で体の力が抜けてしまい、ヨシュアにもたれ掛かるようにして体重を預けた。 ウエストが緩まったズボンは体勢を変えただけで水浸しの床にずり落ちる。 このままじゃ裸で帰る羽目になるなんて思いながらも今はそんな事はどうでも良かった。 簡単に快楽に流された体はヨシュアの手淫で嬉しそうに昂っていく。 掃除しなきゃとかリクに後ろめたいとか思いながらも、体はどんどん力が抜けてヨシュアの肩に顔を乗せた。 するとあろうことかヨシュアの肩越しに見えるトイレの入り口に呆然と立ち尽くす人影が見えた。 嫌って程よく知ってる顔、でもこんな大口開けて目見開いてる馬鹿面はクールなあいつには滅多に無い顔だ。 「う、わ!り、リクっ?!」 「な、なっ!!」 リクは声にならない声を上げて立ち尽くしている。 慌ててヨシュアを振り払ってリクに背中向けて水浸しのズボンを履いた。 勃起してる股間が邪魔で中々上手く履けないし、動揺しまくりの指が上手く動いてくれない。 「残念、邪魔が入っちゃったね、フフ」 ヨシュアは全く動じない様子で笑顔さえ浮かべている。 その笑顔は人の気も知らず妙に楽しそうだ。 「ソラぁっ!!」 するとリクの雄叫びの様な怒鳴り声が狭いトイレいっぱいに響いた。 びっくりして一瞬体がすくむ。 恐る恐るリクの方を見ると鬼の形相浮かべて仁王立ちしている。 「は、はいっ!」 「こっちに来い、ソラ」 パンツ上半身裸でずぶ濡れのズボンという情けない姿で怒り狂った恋人の元へ行った。 リクの側に来ると急に手が伸びてきて、殴られると思って目を閉じて覚悟決めた。 当然だよな、俺達キスもしてないって言うのに違う男と裸で抱き合ってたんだもの。 すると予想外にリクの腕は俺の体を包み込むとぎゅうっときつく抱き締めてきた。 「うっ、り、リク…くるしぃ」 がたいのいい腕であんまり強く抱き締めるものだから窒息しそうになってしまう、これがお仕置きって言うなら軽いものだけど… 「おい!お前!!おっ、俺のソラに、なっ、なっ、なんて事っ!!」 相当動揺しているのか半分上擦ったリクの怒鳴り声、俺がヨシュアにレイプでもされたと思ってるんだろか。 「う、違うよっリク。俺が水かけちゃったのが悪いんだよ、だからあんまりヨシュアを怒らないでっ」 筋肉質な腕の隙間から息絶え絶えにリクに訴えた。 ヨシュアを振り切らなかった俺が悪いんだ、ヨシュアはそんなに悪くない。 でも一番悪いのは俺にずっと何もしてこないリクだよ。 続く