「ネク君どこ行きたい?キャバクラ?ホスト?それとも風俗かい?好きなところ奢ってあげるよ。」
夜中の繁華街はスーツ姿のチャラそうな男やドレス姿のお姉さんで一層派手に賑わっている。
そんな中こんな少年二人で歩いているなんて場違い過ぎて挙動不審になってしまう。
まだこの場所に染まりきれていない俺がいた。
「何でそんないかがわしい選択肢しか無いんだよ!普通でいい普通で!」
「折角だから勉強の為にって思ったんだけど...ネク君が嫌なら仕方ないね、じゃあバーでも行こうよ。」
バーなんてそれこそ更に大人な感じがして気が引けてしまう。
第一俺酒なんて飲めないし...
「や、やっぱいいって!俺今日はもう色々と疲れてるし...」
「そっか、解ったよ。じゃあネク君ちだね!」
「は?!おっ俺んち?!」
「うん、今日はネク君ちに泊まる事にするよ。行こう!」
ヨシュアは俺の了解を得る前に目の前を通りすがるタクシーを止めて一人でさっさと乗り込んでいる。
「ネク君、行くよー!」
「勝手に決めるな!まったく、仕方ないな...」
しぶしぶタクシーに乗り込んで運転手に行き先を告げるとヨシュアは楽しそうに一人ではしゃいでいる。
「ネク君ちってマンション?一軒家?フフっ案外部屋とか汚そうだね。」
「なっ!普通だ!」
そういえばタクシーなんて自分で乗ったの初めてかもしれない。
今日は初めてな事だらけで、色々あったな。
初めて男に体触られて、レイプされかけて、男の性器しゃくって、男にイかされて、
ファーストキス、されて....
「ネク君大人しいね。」
「ええっ///?!ふ、普通だろ?」
あのキスの感じを思い出している最中に急にヨシュアが肩なんか叩くから過剰に反応してしまった。
窓の外のネオンが流れていくような光景を見つめながら、妙にヨシュアを意識してときめく胸を必死で押さえていた。


「お邪魔するよ。」
「言っとくけど家はなんもないぞ!」
俺の為にと両親が借りてくれた渋谷にあるごく普通の単身用のマンション。
まさかこの部屋に未成年で風俗やっててしかもNO.1の男を上げる日が来るなんて。
「本当に何もないねぇ...」
「余計なお世話だ。」
ヨシュアは興味本位で俺の部屋を漁っていて俺はそんなヨシュアの様子をベッドの上で監視していた。
「なぁ、お前んちはどこにあるんだ?」
きっとこいつの事だから高いマンションに住んでるんだろうな。
「僕んち?フフっ秘密だよ♪」
特別気になる訳でもないけどヨシュアはやたら個人情報を伏せたがる傾向がある。
風俗始めた理由も特に教えてくれなかったし...
秘密にされたら余計に興味をそそられてしまうものだ。
今日会ったばかりなのにいつの間にかもっとヨシュアの事知りたくなっていた。

ベッドに入りながらヨシュアの他愛の無い話に付き合っていると次第に瞼が重くなっていく。
心身共に今日の疲れがどっと襲ってきたらしい。
口数の減った俺につまらなくなったのかヨシュアも無口になっていく。
暖かい布団に包まれて次第に俺の意識は遠のいて...
....?!
いくはずが、急にヨシュアが俺のベッドに入って来たものだから一気に目が覚めてしまった。
確かにベッド一つしかないけど///リビングにソファーベッドあるって言ったよな俺?!
「ネクくん...おやすみ...」
何故か俺の背中に抱きつきながら眠るヨシュア。
抱きつかれた背中は暖かいけれど熱いに近い。
俺が戸惑っている内に後ろからは小さな寝息が聞こえてきて振り払うにも起こしてしまいそうで出来なかった。
仕方なくそっとヨシュアの方に寝返りを打つ。
息が掛かるほど顔が接近していて心臓が高鳴った。
この薄い唇に、俺....///
ヨシュアの唇から目が離せないでいると、長い睫毛で伏せられていたヨシュアの瞳が急に俺を映し出した。
「フフっおやすみネク君♪」
「おっお前起きてっ...んっ//?!」
不意打ちでヨシュアが俺にキスをした。
最初はからかう様な軽いキス。
何するんだよって言ってやろうと思って目を開けたらヨシュアの熱い視線とぶつかった。
直感で逃げてはいけない様な気がした俺は反射的に目を瞑って再びヨシュアを受け入れた。
ヨシュアのキスは店でした時よりも優しくなくて、あんなのは子供だましだったと思い知らされる様な情熱的で荒々しいものだった。


静まり返った部屋でお互いの唇から漏れる吐息の音だけが妙にリアルに聞こえる。
何度も角度を変えながらヨシュアは俺の唇を貪り続ける。
何でこんな事されているのか理解不能だけど不思議と嫌じゃないから拒否することもしなかった。
こんな胸に何かを訴えるような激しいキス、少しだけ怖くなる。
俺にはこんなヨシュアの性欲だか情熱だか良く分からない激しい何かを受け入れる余裕はあるんだろうか。
そんな事を考えているとヨシュアの唇が離されて、俺の口の回りを汚す唾液を指で拭い始める。
「僕、夜は眠れないんだよね...」
ヨシュアはおよそキスをした後には言わないであろう台詞を呟くと、俺の体の上にのし掛かってきた。
いくら恋愛経験無くたって俺だって年頃だしこの先何をされるかくらい分かる。
こんな関係おかしい事も分かってるけど店でヨシュアにされた快感を思い出すと体は逆らえなかった。
ヨシュアは俺のパジャマのボタンを外していくと、既に興奮して汗ばんでしまった俺の肌にキスを落としていく。
「ねえ、今日客とキスした?メグミ君にどこまでされたの?」
怒りを含んだような低い声で話しかけながら痛いくらいに乳首を吸われた。
「んっ...キスなんかっしてない...アイツにも大したことされてないって」
俺達大した関係でもないのに言い訳みたいな言い方してしまうのはヨシュアが嫉妬紛いなこと言うからだ。
「本当に?こことか触られてない?」
そう言ってヨシュアはパンツの中に手を差し込むと硬くなっていた陰茎に手を這わす。
「なっ無いって//仕事しただけだしっ//」
ヨシュアは更にそこを硬くさせるように暫く手で弄び、今度はその手を更に下に滑り込ませて割れ目の隙間に指を入れた。
「ちょっ//待てって!!」
「ここに指とか入れられてない?メグミ君の前で凄い格好してたよね...」
そ、それはされたかも//
死ぬほど不快感だったし出来れば思い出したくないのに!!
「っ//そんな事っ思い出させるな!!」
「...やっぱり指入れられたんだ...痛かった?気持ち良かった?」
俺の心の傷を開くようにしつこくあの事を問い詰めるヨシュア。
その声は相変わらず怒り声。
もしかして俺が思っているよりヨシュアは俺の事を深く想っているんだろうか。
出会ったばかりなのにその異常な執着に戸惑う。
「...気持ち悪いに決まってんだろっ...あんなの!」
込み上げるあの時の悔しさ抑えながらそう吐き捨てると、ヨシュアにパンツごとパジャマを剥ぎ取られた。
下半身にヨシュアの髪の毛が触れて、そこに顔を埋められているのが分かる。
すると両足を肩に掛けるように持ち上げられ、湿った暖かい舌の感触が足の付け根を這っていった。
「っ///ヨシュアっ...くすぐったいって...」
「僕が気持ち悪いの忘れさせてあげるよ」
「え?!...んっ//!」
その感触が肛門に触れてくすぐったくて体に力が入る。
そんなところを舐められるなんて普通恥ずかしくておかしくなってしまいそうなものだけど、ヨシュアが当たり前のようにするから寧ろ戸惑っている方が恥ずかしい様な気がしてしまう。
「も...やだって//....離せよっ馬鹿っ!」
せめて口だけは抵抗の意志を示していると、今度は濡れたそこにヨシュアの指が入ってきた。
「なっ何してんだっ//あ//」
あの変態にされた時よりも不思議と痛くはなかった。
異物感は気持ち悪いけれどゆっくりと指を動かされるうちに変な快感が沸き上がってくる。
「フフっ知ってる?この中って気持ちいいんだよ」
そう言ってヨシュアは俺の中の未開発な場所を刺激する。
どこかを触られた途端に体の芯が痺れるようなおかしくなるような快感が生まれた。
「あっ!...や、だって...//」
嫌というのは本心だった。
このまま触られたら知りたくない恥ずかしい自分を発見してしまいそうで。
現にこんな甘ったるい自分の声は知らない。
「なんで?フフっネク君こんなに濡れてるのに?」
悪戯にそう言われた瞬間急にヨシュアが濡れた先端を口に含んだ。
「あっ//...んっ...あぁ...」
体内からの訳分からない快感とヨシュアの巧みな舌技で俺はおかしいくらい声を上げていた。
どうにかしてこの快感をやり過ごそうと足の指先に力を入れても感度は高まる一方だ。
「あっ...や...イっちゃ...//」
「かわいい、ネクくん...」
するとヨシュアは顔を上げて俺の頬にちゅっとキスをする。
イきそうな寸前で急に中断されて行き場を失った熱が俺の体を火照らせていく。
「ねえネク君、入れていい?お願いネク君...」
ヨシュアは俺の両足を持ち上げて入り口にぐりぐりと自分のモノを押し当てている。
こんなの卑怯だ、中途半端で辛いし、うんって言うしかないじゃないかっ!
「ねえいいでしょ?」
そう言いながらヨシュアは既に先だけ俺の中に突っ込んでる。
こんな状況になってやっと、俺何で今こいつとセックスしてるんだろうと疑問に思った。
きっとお互い遊びみたいな慰め合いみたいな、そんな感覚なんだろう。
そんな気持ちで俺は黙ってヨシュアを受け入れていった。
「ねぇ...いいでしょう?...ん....入っちゃった//」
俺の中で腰を振りながらヨシュアは何度も俺にキスをした。
「あっ!...んっ...うぁ」
「ネクくんっ、好き、好きだよ...責任、取ってくれるよね?」
俺も気持ち良くて半分狂ってたんだろう、ヨシュアの言葉を聞き流しながらやっぱり軽い慰め合いみたいな気持ちでセックスしていた。

ヨシュアの中に秘めた異常な愛みたいなものにどこか気が付かない振りをしながら。




「ん...」
うっすら開いた目に眩しい太陽の光が入ってくる。
重い体を起こして携帯を見るともう昼を過ぎていた。
隣には裸のヨシュアが静かに眠っている。
そういえば昨日何でかヨシュアとあんな事になって...
ぼんやりとした頭で昨夜の記憶を辿ると行為の内容よりもヨシュアの強い愛情表現の方がリアルに思い出す。
「ネク君...愛してるよ...ネク君も、同じ気持ちだよね?」

よく考えたら俺凄いこと言われた//
自分の恥態よりもヨシュアの台詞を思い出して顔が熱くなっていった。
「あ、ネクくんおはよ」
「あ//ヨシュア、お、おはよ//」
眠りが浅かったのかヨシュアは寝起きとは思えないほどすんなり体を起こしてテキパキと服を着替え出す。「ね、寝れたか//?」
何だか気恥ずかしくて目が合わせられない。
「あんまりかな、どうせいつも殆んど寝ないんだ僕。」
「そっか...」
鏡の前で髪の毛をセットしながらクールに答えるヨシュア。
昨夜とはうって変わって今のヨシュアはどこか冷めている。
「僕一回帰るよ。」
「...ああ、じゃあまた後で」
ヨシュアは神経質そうに何度も何度も髪を整えながら颯爽と俺の家から出ていった。
帰るって一体どこに?家くらい教えてくれたっていいじゃないか。
愛してるんだろ?
それともあれはただセックスを盛り上げるための興奮材料だったんだろうか。
それなりにヨシュアの気持ちを受け止めなければならないような気がしていた俺は、何だかすっかり拍子抜けてしまったのだった。

 


「おはようございます」
「お〜ネク、おはよーさん」
出勤してくると今日も羽狛さんが笑顔で迎えてくれた。
「ネク君おはよ♪」
キャッシャーの羽狛さんの後ろからは笑顔のヨシュアがやってくる。
今は妙にテンション高そうだし...どうも調子狂う。
「おはよ//」
ヨシュアは仕事をする羽狛さんの邪魔をしたりべったりくっついたりとやたら羽狛さんに絡んでいる。
なんだよあいつ、昨日の夜と態度違いすぎる。
それを見ていたらやたらイラついてきてつい羽狛さんに当たるように低い声で仕事の話をしていた。
「ネク、早速今日予約入ってるぞ〜良かったなあ」
そう言って見せられた予約表には南師の名前が俺の出勤時間を埋め尽くしている。
「なっ!何ですかこれっ?!」
「たまにいるんだよ、こういう奴。変態か口説きたいかどっちかだろ。まぁ頑張れよ〜」
こんなの俺の身が持たない!
すると羽狛さんの後ろにいたヨシュアが突然俺の手から予約表を奪う。
「...何これ、誰?気持ち悪いね」
さっきまで羽狛さんにじゃれていたヨシュアが急に豹変する。
俺はヨシュアに腕を掴かまれてそのまま適当な個室に連れ込まれた。


「何だよっ...うわっ!」
ベッドに突き飛ばされて俺の体がスプリングで弾む。
その俺の体をヨシュアの細い腕が押さえ付けた。
「彼とどんな関係なの?」
ヨシュアの目はあの時の様に異常なほどギラギラとしている。
あの時は行為に夢中で感じなかったけれどヨシュアからは甘い香水に混じって独特な匂いがした。
「どんなって!只の客だろっ!」
「キスしたの?抱かれたの?!」
ヨシュアは俺が引くくらいの勢いで問い詰める。
もう俺もヨシュアの豹変っぷりにはついていけなくて半分くらい引いていた。
「だから...なにもないって」
そんな俺の態度に気付いたのかヨシュアは少し頬を赤らめながらごめんね、と呟いた。
「約束してよ、僕以外とはキスもセックスもしないって。お願いだよ...ネク君」
こいつ何なんだ?
やっぱり俺の事好きなのか?
順番おかしいし展開早いけど、もし本当にそこまで思ってくれているなら...
泣き出しそうなヨシュアの頭を軽く撫でながら分かったよ、と小さく言ってやった。

 


ヨシュアが仕事に行ってしまい、俺は複雑な気持ちで個室で待機していた。
ヨシュアは外見も綺麗で人気者で床上手だし、正直悪い気はしない。
でもあいつの気持ちにはどうも追い付けない俺がいた。
てゆーか、俺ヨシュアの事何も知らないし...
ヨシュアの事で散々頭を悩ませていると個室のドアが開いて羽狛さんが顔を覗かせた。
「ネク〜客だぞ!」
そうだ!忘れてたけどこの前の奴!
一体何考えてんだろ、俺の体そんなに長く持つかな....
羽狛さんに言われて入り口まで迎えに行くと、相変わらず怖い顔して彼が立っていた。

 
部屋に案内したはいいものの彼の予想外な行動に接し方が分からなくなる。
「あの、今日もありがとうございます...」
「言っとくけど俺は寝に来ただけだからなっ!勘違いすんなよ、ヘクトパスカルっ//!」
そう言って彼は帽子を取ると本当にベッドに横になった。
寝に来たって...ここ風俗なんだけどな...
「仕事まで寝る!」
「あっあの、俺はどうすれば...」
高い金払って寝るだけなんて今一信用ならない。
でも変わってるこの人ならありえるかも...
「お前も寝ろ!」
「えっと...」
ベッドは一つしかないし、床はちょっとな...
「早く来いって//!ゼタ空気読めねぇな!!」
「お、お邪魔します」
トラウマだってあるし警戒しながらベッドに行くと何故か枕の位置に彼の腕がある。
う、腕枕?!
「これは癖だ!癖!一々気にすんなよっ//!」
「分かりましたっ」
体重をあまり掛けないように気を使ってその腕に頭を乗せると急にもう一方の腕に引き寄せられた。
完全に彼の胸に抱き締められてしまい、トラウマが甦ってつい体が強張る。
「なっ!寝るだけだったんじゃ//!」
「うるせぇ!抱き枕が無いと寝れねーんだよ!勘違いしてんじゃねーよ//」
彼は言葉通り襲ってくる様子も無かったので仕方なくそのままでいると頭の上から寝息が聞こえてきた。
本当に寝に来たのか...変わった人もいるもんだな。
彼の暖かい体温が次第に俺の眠気を誘って瞼が重くなっていく。
この人なら多分大丈夫だろうという漠然とした安心感からついに俺も眠りに落ちて行った。


眠りが浅かったんだろうか、顔の辺りに只ならぬ気配を感じて目を覚ますと、息が掛かるくらいの距離にどアップの彼の顔があった。
「なっ//!起きてんなら早く言えっ!!このヘクトパスカルがっ!!」
顔を真っ赤にして慌てふためく彼。
今、なんかキスしようとしてた?気のせいかな...//
「目、覚めちまったじゃねぇか!!」
そう言って起き上がると彼は突然衣服を脱ぎ始める。
「風呂借りるぜ!」
体を洗うのは俺の仕事なのに...
本当に下心を感じさせない彼に大分好感を抱いた俺は、心底サービスしたい気持ちで彼のいるシャワールームに入って行った。
「なっ//入ってくんな!!ゼタうぜぇ!!」
何故か顔を赤くして俺に背中を向ける彼。
今更何を恥ずかしがっているのかは謎だけど仕事は仕事だ。
「あの、背中流します!」
中々こっちを向いてくれない彼のタトゥーだらけの背中を丁寧に洗った。
口は悪くてぶっきらぼうだけど、いい人だな。
この仕事をし出してから初めて俺の顔に笑みが溢れた。
「そう言えばここにお前くらいの体型で色白の奴いるだろ」
「...ヨシュア、ですか?」
ここに俺くらいの体型の男なんてヨシュアしかしない。
いつの間にヨシュアを見掛けたんだろう。
「お前が来る前にずっと俺にガン飛ばしてたぜ!ゼタうぜぇなアイツ。今度会ったらクラッシュしてやる!お前アイツと仲いいのか?」
そっか...ヨシュア、そんなに気にしてたのか。
「仲、いいです//初めてここで出来た...友達だから」
友達と言うよりは恋人、なのか?
束縛されてるって事はそうなんだろうか、正直なところ恋人という響きにはまだしっくり来ない。
「は?マジで?!お前アイツには近寄るな」
すると背中を向けていた彼が急に振り返って言い聞かせるように俺の肩を掴む。
俺を真っ直ぐ見る瞳は真剣だった。
突然真面目な顔をする彼に何事かと思い俺も固まってしまう。
「ヨシュアに、ですか?」
「お前みたいな奴には分からねぇだろーがあれは完全にキマってる奴の目だ。」
「決まってる?」
「瞳孔開きまくってんだろ!マジで意味分かんねぇの?!」
「っ!?」
こんな俺でもそのくらいは知っていた。
ドラッグなんて学校のビデオくらいでしか知らなかったし一生関わる事なんか無いと思ってたけど!
ヨシュアがまさかそんな事、信じたくない!!
しかし証拠を裏付けるような様子は幾つもあり否定しようにも素直に違うとは思えなかった。
「風俗やってる奴にはゼタ多いんだぜ?お前は絶対に染まるなよ!」
ヨシュアからしたあの独特な匂い、もしかしたらあれがそうなんだろうか。
信じたくないけれど思い当たる幾つもの不安要素が俺を深く落ち込ませて行った。

 







「おい、どーしたぁ?ゼタ暗ぇな?」
「...」
今は仕事中で俺はこの人を楽しませなくてはならないのに。
さっきのヨシュアのドラッグ疑惑が頭をちらついて離れなかった。
まだ本人に直接聞いた訳じゃないんだ、分からないじゃないか。
そう自分に言い聞かせてもどこか空しく感じるのはやっぱり俺の中で黒だと思っているからかもしれない。
俺ヨシュアの事本当に何も知らないけれどきっと俺なんかじゃ想像がつかないような辛い事が沢山あったに違いない。 
もっと早く出会ってたら止められたかな。
いや、これからだって俺が代わりになるから...
「うわっ!おっお前何泣いてんだっ!ゼタうぜぇ!」
「っ...」
急に泣き出した俺にどうしたらいいのか分からず狼狽える彼。
仕事中にこんなの最低だって分かっているけれどヨシュアの事を思うと涙が止まらなかった。
「お、おい...大丈夫か?」
「すみませっ...」
すると彼が俺をあやすように背中に腕を回してきて、次第に力の込もっていったそれは熱い抱擁に変わっていった。
「このラジアンがっ!そっそんな顔するんじゃねえ///!」
本当にこの人どれだけ優しいんだろう。
仕事放棄して泣き出した俺を慰めてくれるなんて、人は外見だけじゃ判断出来ないんだな。
「泣き止まないと犯すぞ!」
「うっ...」
彼に申し訳ないし必死で堪えても一度高ぶった感情は中々静まらない。
「...知らねぇぞ」
すると彼が低くそう呟き、次の瞬間タイルの床に押し倒されていた。
涙でぐちゃぐちゃになった顔を見られたくなくて慌てて手の甲で顔を拭いた。
「...おい!」
「はい、もう大丈夫です、俺...」
「そーじゃねぇだろ!押し倒されてんだぞ!犯っちまうぞ!」
「え//?!」
「ったく//緊張感の無い顔しやがって!!」
すると彼はチッと舌打ちするとあっさり俺の体を解放した。
本当は優しい彼が強姦紛いの事をするなんて最初から思ってなかったけれど、どうやらそんな俺の態度が詰まらなかったらしい。
「...気が変わった//仕事しろ!」
彼は照れくさそうにそう言うとマットの上に寝そべった。
股間を見るといつの間にか半勃ちになっている。
何に欲情したのか全く分からないけれど気が変わったのは確かなようだ。
高い金払って本当に寝て帰られるよりは仕事させてくれた方が俺も気が楽だし、何より彼には喜んで帰って貰いたい。
「じゃあ、失礼します///」
今だけはヨシュアの事は頭の隅に置いておこう。
前回しただけあって彼のそこを咥えるのはさほど抵抗が無かった。
男の性器を意識してしまうと一気に咽返りそうになるのでただの棒だと割り切って舌を這わす。
今日は意外と早く硬さが増してきてたまに口内に滲む先走りが辛いけど、大量の唾液と一緒に飲み込んでなんとかやり過ごした。
「おい、体こっちに向けろ。」
「??」
体を頭の方に向けろって事か?そしたら俺仕事出来ないんだけど...
「あ〜じれったいなお前!ゼタ空気読めねぇな!」
すると彼は体を起こすと俺の体を無理矢理自分の上に跨らせた。
「舐めろ!」
「は、はい///」
彼のお腹の上に跨って今度は反対側からフェラチオしていると、体を屈めるたびに彼の顔の目の前に自分の尻が晒されているのが気になって仕方ない。
な、何でこんな体勢っ///
余り気にしないように行為に専念していると急に腰を掴まれて後ろに引っ張られる。
思わず口から性器が抜けてしまった。
「ちょっ!何なんだっ...あっ!」
腰を引きずられたと思ったら急に股間に生暖かい湿った感触がして、思わず変な声が出た。
彼は俺の陰茎をひたすら口で愛撫する。
この人ってノンケだったんじゃないのか?
「んっ...や、やめっ///」
止めて下さい、と言おうとしたけれどそういえばここまでは仕事の内だった。
たしかマニュアルにマットでは69でお客様を喜ばせましょうとかなんとか書いてあったっけ....
恥かしくて死にそうな体勢だけど仕方なく彼の好きにさせていると、身長差のせいで彼の陰茎に俺の口が届かない事に気付いた。
仕方ないので手で愛撫している内に迂闊にも彼の舌に感じてしまっている自分がいた。
講習でヨシュアに自分が感じてたら仕事にならないって何度も言われたのに...
それでも下半身から湧き上がる直接的な刺激には勝てない。
俺は快楽をやり過ごす為に必死で彼をイかせる事に専念しようとしていたけど、限界はすぐそこまで来ていた。
「だ...め///もうっ...俺っ」
イきそうなのを堪えながら前へ這おうとしても腰をがっちり掴まれていてそれも叶わない。
このままだと彼の口の中に出してしまうしそんな事お客様に対して失礼極まり無いんじゃないかとか考えていても体は言う事を聞いてはくれなかった。
「んっ...もうだめだっ...あっ///!」
最高の気持ち良さと罪悪感が同時に押し寄せた瞬間だった。
「ん...す、すいません!」
震える膝をなんとか立たせて力尽きた体が彼に圧し掛からない様に堪えた。
「ウ...やべぇ...」
するとすぐ後に彼も俺の手で射精してくれたけど、手で抜いていたせいで受け止めるところの無かった飛沫は俺の顔中に飛び散っていった。
何でこの人いつもイく時言ってくれないんだよっ!さ、最悪...
「...悪りぃ//」
「大丈夫です...」
まさか顔射されるなんて思っていなかったのでショックは結構大きかった。
「こっち向けよ」
「え?」
心配そうにそう言ってくれた彼の方を振り返ると顔が赤くなっていた。
「う///あ、洗ってやるから来い!このラジアンがっ///!」


申し訳ない気持ちが大きいのか何故か一通り彼に体を洗われてしまった。
本当にこの人が来ると仕事じゃないみたいだ、そう思ってはっとした。
さっきあんな恥かしい行為までし合ったのにそれも俺あんまり仕事した気でいないような。
何だこれ、こんなの絶対変だ。
この人はお客さんで俺は従業員だろ?
服を着替えて残り時間を彼の要望で再びベッドで過ごした。
「なぁ、お前仕事辛いのか?さっき泣いてただろ?」
「もう大丈夫です。もう慣れたから...」
それに泣いてたのは仕事の事じゃないしな。
「なぁ俺とクラッシュしちまおうぜ!」
「え?クラッシュ?」
「借金なんてたかが一千万だろ?俺が払ってやる!いや、貸しにしてやるからお前今日で店辞めて来い!それで俺と一緒に来い!」
「ええ?!」
前に変態グラサンにもそんな事言われたけどこの人の意味は大分違う。
どうやら相当俺は彼に愛されているのかもしれない。
「でも、そんなの...俺...」
確かにこの仕事は今すぐにでも辞めたいけど、でもこの人について行くって言うのはヨシュアとも別れるっていう意味だ。
俺、この人の事好きだしいい人だと思うけど...
急に持ちかけられた提案にパニックになっていると丁度時間終了のタイマーが鳴った。
彼は颯爽と起き上がってさっさと部屋を出る準備を始める。
「明日の夜まで待ってやる!それまでに決めろ!無理ならもう来ねぇ!精々そのヨクトグラムの脳みそで考えとけよ!」
彼はどこか晴れ晴れとした顔で今日は爽やかに去って行った。
その背中を見詰めていたら何故か切ない気持ちになって涙が出そうになるのを必死で堪えた。








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