※crab様から相互記念に頂いたネクヨシュの素敵小説です♪
宝物にしまぁす♪






僕は昔からずっと、

一人だったんだ。







lover






僕は昔から、他の人とは違うものが見えていた。


渋谷の町を歩く人間の思考、

死人、

死神、

訳の分からない雑音の生き物……ノイズ。


死神のゲーム。


ゲームの参加者。


ノイズが参加者を襲う所だって、見えた。


それらが他の人には見えるかといつも問うが、返ってくる答えはいつも同じ。

見えない、分からない。


ただそれだけ。



そのようなものが見えるということ。


とても、気味が悪い。

近寄ったら、危ないだろう。



そのような勝手なイメージが他人の中で作られ、僕の辺りを見えない壁で固めていった。



僕はずっと、


ずっと。


ず────っと、


独りだったんだ。



その壁は思いのほか分厚くて、冷たくて、

触っただけで痛い。


辛かった。



寂しかった。





そんな壁に囲まれる運命ならば……



僕は、



僕は───







「……ヨシュア?

おい、ヨシュア…聞いてんのか?」


「………うん?」




彼の言葉で、はっと我に帰る。


すぐ目の前には、心配そうな顔つきで僕の顔色を伺う彼の姿が。


「……どうした、さっきから呼んでんのに黙って…

具合でも悪いのか?」


そう言うと彼は、僕の背を優しく擦る。


「……あっ、ううん。


何でも、ないよ。」


僕はなんとか笑顔を見せた。



特に具合は悪くはないんだけれど、

何だか思い出したくない事を思い出してしまったみたいで、音操君の声が聞こえなかったみたいだ。


音操君に心配かけちゃったよ。駄目だなぁ僕は。



「……そっか、ならいい」


彼は手を離した。







「……ちょっとね、考え事してたんだ。」



暫しの沈黙の後に、僕は口を開いた。



「……何の?」


当然の如く彼が話に乗ってきた。



「僕が、生きてた時の事……だよ…」


「そうか……」



僕自身も、あまり思い出したくない事だという事を悟ったのだろう、

彼はそれ以上話そうとはしなかった。


そんなささいな彼の気遣いが、とても嬉しいよ。


でも、音操君には、


僕の気持ち、分かって欲しかったな。





「……ねぇ、音操君…」


「何だ?」



「………抱っこ、して…」


僕は目を反らして言った。

僕の顔色が少し赤くなっていて、見られたく無かったためなのかもしれない。


「………。」


いつもの音操君なら、すぐにおかしな声を上げるだろう。


でも、今回の音操君は違った。



音操君は何も言わず、僕の細い身体を両手に抱き取ってくれた。

僕は姿勢を低くして、音操君の服の胸の当たりに頭を埋める。


そうしていると、音操君の鼓動がうっすらと聞こえてきて、

これは、現実なんだな。


と、僕の気持ちを安心させてくれるんだ。



「…ヨシュア…っ、
その、どうしたんだよ…

さっきから、何か変だぞ」


でも僕は答えなかった。



自分の辛い過去を、ただ忘れるためだけにしたようなものだから。

多分。





「……音操君、もっと強く抱いて…」


「……え…
い、いいのか?」


僕は黙って頷く。



そうしたら、すぐに音操君は僕を抱く腕の力を強めた。


案の定、少し体が締め付けられるようになり痛かったけど、
その重みは僕には心地よかった。


それによって、僕がさっきまで考えていた事は次第に薄まっていく。



こう強く抱かれる事で、過去の寂しかった自分の心の叫びが無くなりそうなんだ。




「……そう、音操君…


もっと強く…


もっと……」




「……ヨシュアっ…」



僕は急な安心感に取り囲まれたためなのか、
目から涙が溢れ落ちそうになる。


「……ヨシュア…


その、そんな辛い顔……すんなよ」


音操君から見た僕は、悲しくて泣いているように見えるようだ。


「……違うよ、音操君…


僕はねっ…、嬉しいんだ……」





昔の僕は、独りだった。



でも、今の僕は独りじゃない。





僕の事を、愛してくれる人がいるから。 







音操君。





君だよ。






僕はそれが分かって、嬉しいんだ。






「〜………っ、」



音操君は何も言わず僕の身体を強く抱き締め、
口元にそっと

キスをした。








懐かしいような、


甘い味のキスだった。