正月なんて所詮テレビの中だけのお祭り騒ぎだ。 
どうせ毎年一人だし。 
平穏で平凡な日常。 
あのゲームの時は確かに生きてるって実感してた。 
不思議だな、死んでたのに生きたいって強く思ってた。 
あの七日間は死んでいた俺の心も渋谷の景色も輝いていたのに。 


あのヨシュアと過ごした七日間だけは。 


恋はみるみる俺に生気を与えてくれて、そして彼を失うと同時に心はまた死んだ。 
コタツに入って無駄に騒がしいテレビの画面を冷めた目で眺めてた。 







LOVERS   AGAIN






ピーンポーン 

突然玄関のインターホンが鳴った。 
来訪者の心当たりもないし、勧誘だと面倒臭いから無視していると再びインターホンが鳴る。 
その内何度も鳴るから腹が立って勢いよくドアを開けた。 
「何なんだよっ!!…っ?!」 
そこに立っている人物が予想外すぎて驚愕して暫く固まった。 
「ネク君久しぶり!逢いたかった…」 
俺にもたれ掛かってきたヨシュアの温もりで夢じゃないって実感した。 
色んな想いが交錯して涙が出そうになった。 


あれから当たり前な顔してヨシュアが俺んちにいる。 
外にも出ずに、寧ろ殆んどコタツから出ずに俺達は毎日引きこもっていた。 


「おい!今のずるいぞ!」 
「フフ♪気付かないネク君が悪いんだよ。」 


小さなコタツでくっつきながらゲーム。 
ヨシュアは何をやらせても強い。 
だけど格ゲーはちょっとだけ俺の方が強いな。 

「あ!ネク君その技は卑怯だよ!」 

「お前結構弱いな!」 

「もう!つまんないよ!」 

負けず嫌いなヨシュアは負けるとすぐにコントローラを投げる。 
「おい!物に当たるなよ」
ヨシュアはわざとらしく頬を膨らませると何故か俺に擦りよってきた。 
「ゲームつまんないよ。それより、ネク君寒い…」 
「え?ちょっ//」 
暫く俺の腰に抱きついて頭を擦り寄せながら甘えるヨシュア。 
「…猫みたいだな」 
頭を撫でてやったら嬉しそうに目を細めた。 
俺も嬉しくなって微笑むとそのまま押し倒された。 
ヨシュアはにこにこしながら俺のスウェットのズボンに手を入れてくる。 
「ちょっ//さっきしたばっかなのにまたするのか?」 
「うん♪」 
ヨシュアはコタツに潜り込んで本日俺に二回目のフェラチオをした。 
「ん…ァ…//」 
コタツから顔だけ出してしっかり俺の表情をチェックするヨシュア。 
上目遣いが妙に色っぽくてくらくらする。 
「ネク君の感じてる顔かわいい」 
「んっ…っるさぃ//」 
かわいいっていうのは俺よりヨシュアの方が似合う気がするんだけどな… 
さっき出したばかりなのにまたヨシュアの口の中で大きくなっていく。 
絶妙な舌技に翻弄されて昂ぶっていく快楽。 
「あっ…ン…イきそ…」 
俺のイク顔をヨシュアがじっと見つめる。 
「み、見るな馬鹿っ//」 
そんなに見られたら恥ずかしくってイけないだろ。 
イく瞬間コタツ布団をヨシュアの頭に被せた。 
「あ!ちょっとネクくん!」 
「っ…あっ!…」 



「ん〜ネク君口直ししたい」 
自ら進んで俺の精子飲んだくせに不味い不味いってうるさい奴。 
「それに僕お腹空いた、ネク君なんか買ってきて」 
「仕方ないな、じゃあコンビニ行ってくる。」 
そういえばこいつ俺んちに来てから一回も外出てないんじゃ… 
寧ろコタツからも殆んど出てないし。 
本当、面倒臭がり屋だな。
寝て遊んで発情してまた寝ての繰り返し。 
なんか猫みたいだ。 
「じゃあ行ってくる。」 
「早く帰ってきてよ」 
ついでに漫画も買ってきて、といった顔が寂しそうだったから急ぎ足でコンビニに向かった。 



「あ…雪」 
コンビニから出るといつの間にか景色が真っ白になっていた。 
音もなく激しく降りしきる白。 
このままだと家につく頃にはびしょ濡れかな。 
ヨシュアがお腹空かせて待ってるし雪の中を走って帰ると真っ白な景色の真ん中に見覚えのある青い傘が一つ。 
「寒いよ、ネクくん…」 
白いコートに身を包んだヨシュアが立っていた。 
幻想的な景色に溶け込んだ白を纏ったヨシュアはとても綺麗。
暫く夢でも見ているみたいにぼーっと見とれてしまった。
「…ヨシュア///何で…」
「だってネク君傘持ってないでしょ…」 
少し頬を赤らめながらヨシュアが小さく囁く。
寒がりの癖に無理しやがって。 
優しくされるの慣れてないから小さくありがとなって言った。 
迎えに来てくれたのに何でか傘一本しか持って来ないから仕方なく二人で一つの傘に入った。 
男二人で相合い傘なんて複雑な気分だけど白いコートを着たヨシュアは女の子みたいに見えたからそんなに違和感ない。 
触れた手が冷たくて震えていたからそっと手を握ったら俺の肩にヨシュアが頭を預けた。 
雪が降っていて刺すような寒さでも繋いだ手は雪が溶けてしまいそうなほど暖かかった。


アスファルトをうっすら覆いだした雪に俺達の足跡が付いていく。 

この先の二人で歩く道にはどんな足跡がつくのだろう。 





「体冷えちゃったよ、ネク君お風呂入れて」 
コタツに入って塩ラーメン啜りながらヨシュアが俺を顎で使う。 
我が儘がたまにムカつくけどさっきみたいなとこ見せられるとどうも弱いな俺。
渋々お湯を入れにいくと入浴剤も入れてね、と声かけられた。 
本当に女みたいだな、あいつ。 




「僕お風呂行ってくるよ」
「ああ」 
ゲームしながら空返事するとヨシュアが何か言いたそうにじっと見詰めてくる。
「な、何だよ?」 
「…一緒に入りたくないのかい?」 
「ええっ?!何言ってんだよバカ!早く入ってこいよ//」 
「ん…わかったよ…」 
一緒に風呂なんて何考えてんだよ、大体うちの風呂狭いし、全裸なんてなんか恥ずかしいじゃないか… 




「ん♪いい香り」 
「…///」 

ヨシュアお気に入りのピンクの入浴剤。 
バラの香りが狭い浴室に立ち込めてむせかえりそうなほど甘ったるい。 
浴槽が狭いものだから仕方なくヨシュアを膝の上に乗せて抱っこした。 
ヨシュアの柔らかい太ももが気持ち良くてなんか股間がムズムズする。 
肌も柔らかくてスベスベだしこのまま密着してたら絶対に恥ずかしい事になりそうなんだけど! 

「ちょ…ヨシュア///」 

早く離れて欲しいけどまだ離れたくないような… 

「フフっネク君なんか当たってる♪」 

触って欲しいような触りたいような… 

なんかもどかしいな、この状態/// 

「んっ…入るかなぁ」 
「な、なにやってんだよ//」 
先っぽになんか当たってると思ったらヨシュアがゆっくり腰を落とす。 
「ん、あ♪入った」 
「っ///」 
あったかくて柔らかい粘膜が俺を締め付けて急に強い快感が下半身から湧き上がる。
ヨシュアが腰を振るたびにチャプチャプと音を立てて揺れるピンク色。 
俺の首に絡み付く指が僅かに力が入って、ヨシュアの小さな声が狭い浴室に響く。 
甘い匂いと甘い快感。 
お湯が滑りを手伝ってヨシュアが気持ち良さそうに動く。 
「んっ…あ…」 
そんな顔を眺めていたら目が合ってにっこり笑われた。 
快楽に貪欲なヨシュア。 
特に聞いたことないけど俺の事好きなのかな。 
「ヨシュアっ…あの、俺って…」 
聞いてみようとしたら急にヨシュアの動きが止まる。
「フゥ…疲れた」 
体力無いくせに頑張るからのぼせたらしい。 
胸の辺りの肌を触ると火照っていてドキドキしてた。
「無理するなよ」 
「うん…」 


風呂を上がらせてタイルの上でぬるいシャワーを当ててやった。 
「大丈夫か?」 
「うん♪」 
スポンジを泡立ててヨシュアのきめの細かい肌を撫でた。 
「背中は念入りにたのむよ」 
ヨシュアの体を洗ってやると今度はスポンジを奪い取られてしまった。 
「フフ、ネク君の乳首可愛い♪ピンク色なんだねぇ」 
「は?!//」 
乳首に泡塗られてヨシュアの指が撫で回す。 
自慢じゃないけど俺乳首触られるの弱いんだよな… 
「っ…ん…」 
恥ずかしいけど声抑えられない。 
そんな俺を見てヨシュアは悪戯に笑うと、再び立ってしまったペニスにボディーソープを塗り出した。 
ヨシュアの指がぬるぬると絡み付いて気持ち良くてまた変な声が出る。 
「ァ…んっ…」 
「フフ、かわいいネク君」
するとヨシュアがバスタブの縁に手をついてお尻をこっちに向ける。 
どんな格好してるんだよ、本当に大胆だな// 
「ネク君入れていいよ//」 
「えっ///」 
「もう、早く///」



「あっ、あ、ネクくんっ」

「ん…ぁ…い、いきそう///」


後ろから入れた途端自分から腰振りだすからあっという間にイきそうになる。
もう少し俺のペースに合わせてくれないと、俺早いし///
結合部から漏れるボディーソープの滑る音とヨシュアの甘ったるい喘ぎ声が狭いバスルームに響く。
半分のぼせてるのとヨシュアの中が気持ちいいので頭がふわふわする。
真っピンクの湯からピンクの湯気が出てバスルーム一杯に立ち込めて見えるのは俺の脳内が今桃色だからなのかな…
「んっ…あっ…出してよっ」
「えっ///ど、どこに??」
「ね、ネクくんのっ…好きなとこにっ」
ええ?!俺の好きなとこって///
そんなの分かんないって!俺変態じゃないし///
でもどこかって言えばやっぱりヨシュアの中、かな…俺のものって証拠残したいじゃないか///
「あ…イ、ク…ヨシュア///」
「あっ!…ネクくんっ…」
もういい加減薄まった精液をヨシュアの中に注いだ。
俺がイくとヨシュアは数回体を震わせて、背中を触ると敏感になってしまったのか小さな声を漏らした。
「あ…ぼ、僕もイっちゃった…」
俺が入れてる間に自分の手でしてたらしい。
そんな事しなくても後でちゃんと口でしてやろうと思ってたのに///
ヨシュアから引き抜くと泡に混ざって俺の精液が流れ出た。
なんか勿体無いけどこのままじゃ腹下しそうだし指で掻き出してやると、
「じ、自分でするよ///!!」
と言って怒られてしまった。

変なところで恥かしがりというかプライド高いってゆうか。

ツンデレってやつとはちょっと違う気もするけど飄々とした態度からたまに見せる優しさとか恥じらいに、どうしようもなく胸がときめいてしまう。





そんな甘くてラブい同棲ごっこも数週間も経つと正直うざくなる時がある。
近すぎると逆に嫌な面ばかりが目立ってしまって、好きなとことか幸せな事が、分かってるけど霞んでしまう。
「おい、いつまでだらだらしてんだよ、もう昼だぞ!」
「ん〜…だって寒いしまだ眠い…あ、ネク君コーヒー買ってきて」
「たまには自分で買いに行って来い!それにその辺ちょっとは片付けろよ!」
ヨシュアが外出したのはあの迎えに来てくれた雪の日ただ一度だけ。
寒がりを通り越して重度の引き篭もりだ。
ヨシュアが散らかしたゲームや漫画を片付けているとどんどんイラついてくる。
よく考えたら大した事じゃないのにこの時はヨシュアの我が侭に限界を感じていた。

「なあ、お前いつまで俺んちにいんの?」

「…ずっと」

半分コタツに入ってヤドカリ状態で雑誌見ながらヨシュアが言った。
俺真剣に聞いてるのに、そんな大事な事適当に言うなよ。

「…お前家帰ったら?」

「何で?」

「…」

相変わらずこっちを見ずに雑誌ばかり見てる。
もう我慢の限界、何の為に俺んちに住んでるんだよ、楽だから?セックス出来るから?

一度くらい好きだからって言ってくれよ!


「ネク君、僕に出てって欲しいの?」


「…てゆーか、まじで帰ったら?」


「わかったよ」



ヨシュアは颯爽とコタツから出ていつかの白いコートを羽織ると、俺の目も見ずに逃げるように出て行った。



一人になってみると俺の部屋はやたら静かで、散らかっているといっても大したものではない。
久しぶりにコタツに足を伸ばしてみると狭いと感じていたコタツも十分快適なものだった。
二つのコントローラーが無造作に床に転がっている。
少食のヨシュアが残した食べかけのサンドウィッチをかじっても美味しくなかった。
これ、ヨシュアに薦められた時はもっと美味しかったのに。
いつ帰ってくるとか何も言わずに出て行きやがって…
なんとなく窓の外を見るとあの時みたいに真っ白い景色が広がっていた。
「…雪?」
引き寄せられるように窓を開けると冷たい冷気が頬を刺す。
大粒の雪が音も無く降りしきっていた。
いつの間にか道路も屋根もうっすらと白い膜に覆われている。
あいつ、傘持って行かなかったよな…

そういえばこんな雪の日、俺を迎えに来てくれたヨシュアを見てずっと一緒にいられたらって思ったっけ。

よく考えたらヨシュアの我が侭なんてどれも大した事なかった。
何であんなに腹が立ったのか、この静かな部屋で冷静に考えると所詮は俺の子供じみた八つ当たりだ。
急いで傘持って玄関を飛び出した。
でもヨシュアを追いかけようと思って、ふと気が付いた。
俺あいつの家も知らないし行くあても見当つかない。
でも俺のマンションから続く一つしかない足跡はきっとヨシュアのものだからそれを辿ってみる事にした。
白い雪の上を二つの足跡が重なっていく。
消えかけの足跡を頼りに歩いていたらやがてそれは雪に埋もれて完全に消えてしまった。

二人分の足跡はやがて俺だけのものになっていた。




家に戻って半分鬱状態で片付けしてるとヨシュアが最後に読んでいた雑誌が開いていた。
そのページにはペアリングの特集が一面を飾っていて、なんかもう自分が情けなくて涙が出てきた。




あれからまた何日か過ぎてもヨシュアが帰ってくる気配はなかった。
携帯鳴らしても電源は入ってないみたいだし、前の死んだ俺に逆戻り。
冬休みも終わって学校が始まってまたいつもの一人きりの生活に戻っていた。
いつしか急いで帰る癖がついていて、慌てて家に帰っても相変わらず整然とした部屋にがっかりしたりしていて。
風呂場のヨシュアのピンクの歯ブラシも願かけるようにずっとそのままにしている。



ピーンポーン



ある日休日に家で引きこもっているとインターホンが鳴った。
「ヨシュア?!」
速攻玄関開けると見覚えのある顔。
憧れの人…だけど俺の会いたいあの人じゃなかった。
「よう、ネク。」
「羽狛さん…」
何だか切羽詰った様子だった。
そういえばこの人に会うのは久しぶりだな。
「ヨシュア知らねえか?」
「え?!…ちょっと前までここに居たんですけど、出て行きました…」
「そうか…困ったな」
羽狛さんの強張った表情が俺を不安にさせる。
「何か、あったんですか?」
UGの事なんて俺が聞いても多分よく分からないけどヨシュアの情報ならどんな事でもいいから知りたい。
「ああ、ヨシュアちょっと前からまた狙われててなぁ。ひとまずお前のとこに隠れてるって連絡よこしたっきり連絡取れねぇんだ。」
「ええっ?!!あいつそんな事一言も…」
「お前には心配かけたくなかったんじゃねぇの?」
ずっと俺んちに引き篭もってたのはその所為だったのか…
それじゃああの雪の日は、わざわざ危険を冒して迎えに来てくれたのかな…
よく考えたらあいつ一緒にいても携帯も鳴らなかったし俺以外頼れる友達もいなかったのかもしれない。
帰る場所だってなかったんだ、きっと。
「羽狛さん、どうしよう!俺が家に帰れって言ったんです…俺、何も知らなくて…」
後悔や心配で胸が締め付けられて痛くって涙が出た。
「ネク、大丈夫だよ、俺が探してやるから。」
羽狛さんに頭を撫でられながら慰められた。

これから寂しさだけじゃなくて不安まで抱えてヨシュアを待っていなければならないと思うと辛くて胸が張り裂けそうだった。



雪はどんどん降り積もっていってもう二人で歩いた景色も別のものに変わっていた。

俺の部屋も次第にヨシュアの生活の名残が消えていって今ではピンクの歯ブラシとヨシュアの読んでいた雑誌や漫画が隅っこに並んでいるだけ。




ヨシュア、どうしたらまた戻ってきてくれるんだ

俺寂しくておかしくなりそう

もう一度死んだらまたコンポーザーのお前に会えるのかな…





台所の包丁を見詰めながらそんな事を考えている俺はもうやばいかもしれない。



ヨシュアの居ない世界で俺は死んだも同然だった。



あと何回死ねば俺お前に会えるんだろう?












END














どうも!キリコです!これは年末から書き始めたので冒頭は最初年末風だったんですが年越しちゃったので正月風に直しました(笑
冬でだらだらと家でイチャコラするほのぼのなネクヨシュが書きたかったんですがまさかのダークルートに!!!www
別にネクは自殺する気とかないのであしからず(笑
雪をテーマにするとどうしても暗くなる傾向にあります。
しかしこれネクヨシュだかヨシュネクだか訳分かんねぇ(笑
でもこのままだと世界観が狂ったままなので近々続編を付け足しときますwww