あいつと話したりちょっと手が触れただけで胸が熱くなるのに気が付いたのは、情熱的に赤く染まった葉っぱが落ちる秋の終わり。



雪が降る頃何度もこの想いを凍結させようとしたけれどやっぱり無理だった。



静かで純粋な俺の初恋。
切なくて、どこか優しくて胸がいっぱいになる。



今音もなく一斉に咲き誇る桜の下、
花吹雪の中で俺の想いを大好きなヨシュアに…





「…ずっと、好きだった、俺なんか何の取り柄も無いけど…つ、付き合ってくれないか//」





ピンク色でいっぱいの春、人生で初めて告白した。








 


高嶺の花と野に咲くすみれ



「…そんな下らない用事で呼び出したのかい?」
「え?!」
俺の呼び出しに面倒くさそうに現れた愛しい人。
高鳴る鼓動を抑えながら掠れた声を絞り出してやっとの思いでした告白の返事が…
え、俺の聞き間違い?
ネガティブすぎて幻聴でも聞こえたのか?
「聞こえなかったのかい?そんな事で一々呼び出さないでよ、僕忙しいんだから。大体僕と付き合いたいなんてネク君身の程分かってる?」
二言目には鼻で笑いながら思い切り見下されてしまった。
初恋は実らないって言うけどこれは無いだろ。
元々高嶺の花だと思ってたけどこれは酷すぎる。
俺がショックで固まっているとヨシュアの携帯が鳴った。
「あ、羽狛さん?こっちこっち!そう、その桜の木のとこに居るよ」
ヨシュアの視線は完全に俺を通り越して、道路脇に止まった高級車を見ていた。
高そうなオープンカーに乗っているワイルドな男性は俺も尊敬している有名なクリエイターCATこと羽狛さん。
「もう行ってもいい?僕今から羽狛さんと時計買いに行くんだ。ネク君ももう少し甲斐性ある人間になったら出直して来てよ、じゃあね」
「あ、ヨシュアっ…」
愛想振り撒きながら羽狛さんに駆け寄るヨシュア。
悔しいけどそんな笑顔も綺麗で、やっぱり胸がドキドキする。
そう、あいつにはパトロンが何人もいる。
CATの羽狛さん、有名な企業の幹部北虹、飲食店を多数営む金持ちの御曹司南師、芸能人の王子英二。
ただのクラスメイトで一般人の俺が到底奪えるなんて最初から思ってなかったけど…
それでも俺のヨシュアを想う気持ちだけはあいつらより勝ってるって信じてる。
あんな金で物を言わせる奴等なんかのどこがいいんだよ!
いつか目を覚ましてくれると信じて俺はまだ諦めない!
遠のくエンジン音を聞きながら、滲む涙を拭って自分自身を励ました。


こてんぱにフラれてからもう一週間、学校で顔を合わせてもあいつは何もなかったかのように何時も通り振舞う。
「ネク君おはよう。」
俺の一斉一代の告白も恐らくヨシュアに取っては気にも止めない程の些細な出来事だったんだろう。
「…ああ、おはよ」
今日も学生には到底手の届かないようなブランド物を身に付けて、手鏡を見ながら首筋のキスマークを気にしている。
「普通こんな目立つとこにキスマークなんか付ける?全くメグミ君はこういう所が面倒くさいんだよね」
俺をからかってるのかヨシュアはわざとらしくそのキスマークを俺に見せ付けてきた。
俺は興味無さそうに視線を窓の外に移したけれど、内心嫉妬ではらわた煮えたぎっていた。
あの告白から度々こんな風に俺を煽ってくるヨシュア。
「ネク君♪お昼ご飯買ってきてよ、メロンパンでいいや」
ムカつくけどたまに笑顔でこうやって甘えられるから許してしまう。
むしろただのクラスメイトの時よりもヨシュアの笑顔が俺に向けられる回数が増えた気がして、つい嬉しくて言いなりになる俺は既に学校での都合のいい奴。
その笑顔が計算して作られたものでも嬉しいなんて、これじゃああのパトロン達と変わらないな。
ヨシュアの為にメロンパンとコーヒー牛乳を買いに行って教室に戻ると、丁度入れ違いに上級生の南師がヨシュアの手を引いて教室から出るところに出くわした。
何だか楽しそうにしているヨシュアは俺に気付きもしない。
「おい、これ買ってきたけど…」
「え?ああ、ネク君にあげる」
面倒くさそうに一言そう言ってヨシュアは南師とどこかへ消えた。
昼休みが終わり、着崩れた制服でヨシュアが戻ってきたのは五時限目の半ば。
乱れた髪を直しながら新たに増えた首筋の痕を気にしている。
絶対ヤってきた、なんかもう俺切なくて涙出る。
こんなの日常茶飯事だったけど告白してから更にヨシュアが好きになってしまった俺には辛すぎる。
その生々しい名残りを見てうっかり妄想してドキドキしている自分も最低だ。


肩を落として下校する俺を慰めるように春風が頬や髪を撫でていく。
涙が滲むのは風が目に滲みるからだ…
最悪な気分で校門を出る頃後ろから誰かに肩を叩かれた。
「ネク君」
「え、あ…な、何だよ?」
いつも迎えに来た何らかの高級車で帰るヨシュアが普通に生徒達に紛れて下校するなんて珍しい。
「フフ、ネク君さっきはごめんね。」
昼休みの事を言ってるんだろうか、心底悪いなんて思ってなんかないくせに。
でもわざわざヨシュアがこんな風に謝ってくれる事が馬鹿みたいに嬉しい。
さっきまで涙ぐんで今は嬉しくて緩む顔抑えて忙しすぎる、これが振り回されるって事なのか。
「別に、俺には関係無いし」
「そう?でも僕の事が好きなんでしょう?」
「えっ…」
あれ以来俺の告白に触れもしなかったのにこのタイミングでそんな事言うのかよ!
好きって言葉に反応した心臓がヨシュアに聞こえるんじゃないかってくらい大きな鼓動を刻む。
顔は熱いし絶対赤くなってるし、恥ずかしくてこんな俺見られたくない。
「今日のお詫びに今度デートでもしてあげるよ。一緒に買い物でも行くかい?」
「…別に、いいけど//」
今、今こいつ何て言った?!
デート!デートなんて恋愛漫画の中だけのものじゃなかったのか?
「ネク君給料日明後日だよね?じゃあ次の日曜に渋谷行こうよ。僕ペガッソの財布欲しい。」
最後の方に何か腹黒い事言ってたけど今の有頂天の俺には関係ない。
ヨシュアは「じゃあよろしく♪」と言って俺の肩を叩くと少し先に停めてある白い高級車に駆け寄って行った。
運転席にいるのが芸能人の王子だろうと何だろうと気にしない。
日曜日は俺がヨシュアと一緒に居られるんだ、もうそれだけで幸せだ。


大した友達も居ない俺はろくに遊びにも行かないし、バイト代なんてCD以外に殆んど使わずに口座に貯まる一方だった。
初めてのデートだしやっぱりカッコつけたいし、残高を全て引き出して、髪のセットに何時もの倍時間かけて渋谷に向かった。
桜咲く並木道はコンクリートの地面も花びらが敷き詰められていて、見渡す限りピンク色の世界はまるで俺の頭の中みたいだ。
あのヨシュアが俺と肩並べて隣を歩いてくれる。
別に期待なんかしてないけどもしかしたら気紛れであんな事やそんな事までっ…
本格的に脳内がまっピンクになってきたその時、
俺は見てしまった。
なるべくそれに目を合わせずに合わせずに下を向いてヘッドフォンから流れる音楽に集中して…


「どうかこの子の手術代を…」
「おにいちゃん、よろしくお願いしまぁす!」
身なりぼろぼろの痩せたお母さんに、車椅子の小さな女の子。
お母さんは首から募金箱を下げている。
「難しい病気で日本では手術が出来ないんです、どうか少しでいいのでこの子の為に…」
道行く人達は数人に一人小銭を数枚入れている。
最近海外で手術を行う子供のニュース見たけど相当金がかかるらしい。
まだあんな小さいのに可哀相だ、普通なら小学校へ通っているんだろうけど。
母親もあんなに痩せてあんたの方こそ大丈夫かよ、と言いたくなる。
でも俺には関係無い事だ、この金で買う無駄に高い財布はきっとその内すぐにヨシュアに飽きられてシーズンの去ったブランド物と一緒にタンスの肥やしにでもなるんだろう。
きっとあの子の渡航費用くらいにはなりそうなものだけど、世の中って所詮そんなもんだろ。
可哀想だけど何かしてやっても野良猫に餌やるようなもんだ。



「お兄ちゃんありがとぉ〜!」
「あ、ありがとうございますっ」
銀行の封筒を大事そうに抱えて満面の笑顔で手を振る子供、母親なんか泣いている、俺もなんか泣けてくる。
何やってんだろ俺。
きっと大好きなヨシュアは怒るだろう。
でもきっと話せば分かってくれる、あいつでも同じ事するかな?
しなくてもきっと俺の事褒めてくれるって信じたいな。
少なくともあいつの周りの金有り余ってて贅沢三昧な奴等よりは俺はまともな人間だ。



「馬鹿じゃないの?呆れて物も言えないよ」

腕組みして冷めた目で俺を見下すのは紛れもなくさっきまで大好きだったヨシュア。
でもこんな顔見たらなんか胸のドキドキもおさまってくる。
「ネク君騙されたんじゃない?きっとその母親今頃大笑いしてるよ。」
「そうかもしれないけど…でも子供に罪は無いだろ?可哀想じゃないか…」
「貧乏なら母親が体でも売ればいいじゃない、自分は綺麗なまま人のお金に頼るなんて下らない、僕帰るよ」
開き直ったような顔して冷たくそう言い放つヨシュア。
皆がお前みたいに綺麗で自分を売り物に出来る訳じゃない。
大体お前は自分の体そんな風に使ってるつもりなのかよ。
しかもそれがあの母親より偉いとでも思ってるのかよ!
そう思ったら何だか色んな事が悔しくなって、気が付いたら甘くて心地好いドキドキが熱くて込み上げるような衝動に変わり、それを大好きだったこいつにぶつけていた。
「っ!…なっ!」
右手の拳の痛みでヨシュアを殴った事を実感して自分でも驚いた。
地面に倒れて信じられないといった風に目を見開くヨシュア、こんな慌てた顔初めて見た。
さっきまで世の中全て見下した様な顔をしてたくせに、なんだかちょっとだけいい気味。
「ごめん…でも、お前最低だな、あの告白はもう忘れてくれよ」
キレてくると思ったけど相変わらず唖然として俺を見つめるヨシュア。
こんな奴とこんな事になって精々したって思いたいけれど、やっぱり俺はまだそんな出来た人間じゃない。
大好きだった奴のまさかの非常識な発言、大好きだった奴を殴ってしまった後悔、ショックで傷付いた胸を抑えてヨシュアを置き去りにしてその場から逃げた。
日曜日の渋谷はの人混みは半端ない。
ちょっと走ればヨシュアの姿なんて雑踏に紛れて分からなくなる。
今どんな顔してるかな、怒って南師あたりを呼び出してるかな。
欲しがってた物誰かに買って貰えばすぐに今日の事なんて忘れそうなものだ。
あいつにとって俺なんてどうせそんな些細な存在。
さよなら俺の初恋。
俺にとっては高嶺の花だったよ、さよなら大好きなあいつ。
沢山の人と行き交うのに誰一人として俺の涙なんかに気が付かない、そんな殺伐としたこの街がやっぱり大好きだと思った。



好きな子を殴った右手はもうとっくに痛みは消えているけれど、心の痛みは夜が更けていくと共に地味に増していく。
もう作り笑顔すら向けられないと思うと、いい事した筈なのに本当に良かったのかと自問自答を繰り返してしまう。
「はぁ…」
あいつは今頃誰かと夜を共にしているだろうか。
干渉に耽りながらベッドに寝転んで天井を眺めていると携帯が鳴った。
とても電話する気分じゃないけれど習慣で着信相手を確認するとそこにはあり得ない名前が表示されていた。
「えっ…」
思わず飛び起きたもののとても出る勇気はない。
そのままヨシュアの名前を表示した画面を見つめていたら携帯は沈黙した。
何なんだよ、今更文句でも言うつもりかよ…
どうせ嫌われてるならもう電話シカトで完璧嫌われてさよならでいい。



「…もしもし、電話、何だった?」
あーもう馬鹿だ俺、結局かけ直してるじゃないか。
本当に俺どこまでこいつに恋してんだよ。
『あ、ネク君…今からネク君ち行っていい?』
はぁ?!今何て、何て言った?!
俺頭イカれた、絶対イカれた!
「いっ…いいけど、お前俺んち知らないだろ?」
ヨシュアが俺の部屋に、そんなのあり得ない!
これ夢か行き過ぎた妄想だ、でも痛いくらい心臓バクバク言ってる、なんか涙出そうだ。
『うん、場所教えてよ?』


ヨシュアに場所を説明して電話を切ったら気が気じゃ無くて、ついマンションの前でうろついていた。
南師辺りと一緒に来て俺ボコられるのかな。
それとも慰謝料でも請求されるのか。
もう何でもいい、早く会っていい加減俺を甘い夢から目覚めさせてくれ。
すると暗闇から華奢な人影がこちらへやってくる。
てっきりまた誰かの派手な高級車で来ると思っていたので歩きっていうのでまず一つ驚いた。
「…ネク君、下まで迎えに来てくれたんだね」
いやにしおらしい笑顔と言動にまたまた驚かずにはいられない。
「ああ、俺ん家分かりにくいから」
「部屋上がっていいのかい?」
「別にいいけど…」
素っ気ない態度しか取れない俺にヨシュアは申し訳無さそうな笑顔でありがとうと言った。


「へえ、ネク君らしい部屋だね。」
「俺の事なんてそんなに知らないのに、俺らしいなんて分かるのかよ」
ヨシュアが本当に俺の部屋に来た。
しかも一人で来た。
テンション上がりまくりなのバレないようにしてたらつい冷たい事を言ってしまった。
「うん…ネク君の事あんまり知らないよ、だから知りたいと思って来たんだけど。やっぱりもう僕の事嫌いになったのかい?」
「えっ?…それはっ…」
こんな好意的な態度のヨシュア、天変地異でもおきない限りお目にかかる事は一生無いと思ってた。
ヨシュアの様子が計算じゃない事くらい俺だって分かる。
でもこんなの予想してなかったから正直どうしたらいいか全く分からない。
黙ったまま一人でパニックになっているとヨシュアは俺の顔色を気にしながら少しずつ話し始めた。
「僕、誰かにプレイ以外で殴られたの初めてだよ」
「…どんなプレイしてんだよ//」
いきなりのセックス事情に思わず顔が熱くなった。
こんな密室で変な暴露するなよ!
「女みたいに足開かされて突っ込まれてるんだよ、馬鹿みたいなプレイでしょ。」
「っ…」
知っていたけど改めてこいつの口からそんな事聞かされて気分がいい訳がない。
「僕に言い寄ってくる馬鹿な奴は僕の事女の代わりにでも思ってるみたいだから、どうせならお金でも取ってやろうと思ってさ。」
何だか悔しそうな顔をして淡々とパトロン達の事を語るヨシュア。
そんな顔するから俺までなんだか悔しくなってきた。
「でもネク君は僕の事完璧男扱いしたでしょ、あんな手加減無しで顔殴られたのは初めてだよ」
そう言ってヨシュアは情けなく笑いながらまだ少し赤い頬っぺたを撫でた。
俺は申し訳ない気持ちと意外な発言から見えるヨシュアの好意に戸惑う気持ちで、どうしたらいいのか分からず言葉を詰まらせた。
「痛っ…まだ歯がグラグラするんだけど。」
「だから、謝っただろ?でもお前だって…」
「そうだね、僕が悪かったよ。あれから色々考えたけど僕間違ってたよ…だから…」
ヨシュアは何かを言いかけて困った顔をして俺を見つめた。
言いかけた言葉の続きを激しく期待してしまう。
まさか、そんなの、無い無い!
変な期待するな俺っ、こいつはやっぱり高嶺の花で、俺なんか、俺なんかっ…
「告白したの忘れてくれなんて言わないでよ、ネク君」
少し照れながら気まずそうに俯いて言葉を絞り出すヨシュアは俺にとってはずっと眺めていたいほど美しい綺麗な花のようだった。
さっきまでテンパってて気付かなかったけれど、何故かいつも身に付けている高そうなアクセサリーや時計といった装飾品は全て無くなっている。
その方が背伸びしてないヨシュア本来の魅力が引き立つのに、俺は今のヨシュア大好きだ、すっごく好きだ。
密室で好意的な態度のヨシュアに先程のセックス事情の暴露、思春期の俺にこんな条件が揃えば当然触れてみたくなるに決まってる。
一生懸命変な気持ちを堪えているのにヨシュアはそんな俺に接近して、あろうことか俺を床の上に押し倒してきた。
「なっ…何すんだよっ//!!」
「答えてよネク君、もう僕の事嫌いになったのかい?!」
真剣なパープルの瞳がきらきらと輝いて俺を見詰める。
今確かにこの瞳を独占しているのは俺だけだ。
嫌いになんてなれる訳ない、長いこと見詰めてたこの綺麗な人はいっそう俺の胸を焦がす。
「そんな訳ないだろっ…今でも、変わらないって…」
至近距離でガン見されてようやく言えた二度目の告白は声が上擦っていてとっても情けなかった。
「そうなんだ、良かった。僕嫌われたんだと思ってたよ、ネク君、嬉しいよ」
するとヨシュアは見たこともないはにかんだ笑顔を俺に向けると、そのまま顔を近付けて…
「っ!!」
唇になんか柔らかくて暖かいものが触れてる!
こ、これがキスってやつなのか?!
何度も妄想していたヨシュアとのキスは想像通り柔らかくて気持ちが良くて。
でも不意討ちだったせいか思ったよりも息苦しい。
その内舌まで入ってきてもう息出来なくて思わず顔を背けた。
「ハァ…し、死ぬっ…」
「酷いよネク君!僕とキスするの嫌なのかい?!」
「ちっ…違っ//…って、おい!!」
すると今度は俺の上着を胸の辺りまで捲り上げてヨシュアの指が肌の上を這っていく。
他人に肌を触られるなんて初めてで、しかもそんなところ自分でもあんまり触らないから擽ったくてつい暴れてしまった。
「うわっ、やっやめろって!」
笑いながら体を捩る俺に更に追い討ちをかけるようにヨシュアが乳首に舌を這わせる。
「なっ、どこ舐めてんだっ……ん//」
もう片方の乳首を指で摘ままれてしばらく好きにさせていると、次第に変な感覚がして思わず息を飲んだ。
俺ヨシュアに触られて感じてる、てゆーか何だこれ?!
こいつ俺とセックスするつもりなのか?!
俺も男だしずっと好きだった子と色んな妄想しなかった訳じゃない。
エロいヨシュアの姿想像してドキドキしてたりもしたっけ。
でも何だこれ、想像とちょっと違う、エロい顔とかしてるのどっちかっていうと俺の方…
「ネク君かわいい、僕男を可愛いって思ったの初めてだよ」
そう言って男の顔しながら手際よくシャツを脱ぐヨシュアがかっこよく見えた。
細そうに見えて案外肉付きのいい胸板や二の腕がドキドキさせる。
あれ、何だこれおかしいだろ!
確かに俺こいつの事男扱いしてたけど、それってこういう事だったのか?!
「男相手に抱きたいと思ったのもネク君が初めてだよ」
何かよく分からないけれど俺がヨシュアの男の部分を刺激してしまったんだろうか、でも結果的に俺どうやら惚れられてるっぽいし、これでいい、もう何でもいい、想像と違っても幸せだから何されてもいいや。
全てを受け入れる事を決めて目を閉じて体をヨシュアに預けると、俺の気持ちを察したのかヨシュアはさっきよりも性急に俺に触れてくる。
乳首を攻められながら胸や鎖骨の辺りを何度も強く吸われて、その度に背筋がぞくぞくした。
触れ合う肌から伝わる体温が気持ち良くてまるで溶け合っているよう。
たまにうっすら目を開けてヨシュアの様子を伺うと、うっかり目が合ってしまい軽く微笑んで額にキスされた。
完璧俺女の子扱いだ、でも何故か悪い気しない、俺って気持ち悪いけど乙女だったんだな、どおりでヨシュアを男扱いする訳だ。
激しいキスしながら俺のベルトに手をかけるヨシュア。
飾り程度のベルトはあっさりヨシュアに外されて、そのまま下着ごと取り去られてしまった。
「ちょっ…あんま見るな、電気っ…///」
完全に立ってる上にサイズに些細なコンプレックスを抱いてる俺、覚悟決めたとは言えガン見されるのは恥ずかしくて耐えられない。
「フフ、いいじゃない、小さくて可愛いんだねネク君の。明るいところでもっと見せてよ」
ヨシュアは悪戯に笑うと俺の両足をわざと大きく開いて俺に見せ付ける様に片手でしごいてみせた。
「う…ぁ」
こいつ案外男っぽい上にドSじゃないか!!
こんなの恥ずかしい!耐えられない!とか思いつつもしっかりヨシュアの手で先端を濡らしている俺。
見られて見せ付けられて興奮してる、体が熱くて頭がぼうっとしてヨシュアが大好きという以外何も考えられなくなっていた。
「やっ…も、イくって!」
「いいよ、飲んであげるからイきなよ」
言葉通りヨシュアは俺の亀頭を口に入れて音を立てて吸い付いてくる。
うわぁ!何だこれっ俺の汚くないかな、絶対まずいに決まってる、幻滅されたらどうしよう、せめて風呂入っとけばよかった…
焦りまくってたのもつかの間、初めてのフェラチオに訳が分からないままイかされてしまった。
「ふっ…あ、あっ!」
ヨシュアの口の中に射精すると絞り出されるように強く先端を吸われた。
ヨシュアが喉を鳴らす音が聞こえて恥ずかしさで一気に目が覚めていく。
「それ、まずくないのかよっ…」
「フフ、どうだろうね、僕の飲んでみる?ちょっと待っててよ今出すから」
「い、いいっ//!!」
ヨシュアはにやにや笑いながらベルト外してジーパンと下着を脱いでいく。
「ほら、舐めてよ」
俺を跨いで膝立ちになったヨシュアは勃起したペニスを自慢気に俺の前に晒した。
案外でかい、こいつ俺より何倍も大人だ!
「ほらネク君、どうしたの、僕の事が好きなんでしょう?」
「う…」
悔しいの半分大好きなの半分、いや、それ以上。
こんなドSな事言われても大好きでもっと好きになってもらいたくて、ヨシュアの言う通りにそれに舌を這わせた。
何気にこんな事も想像しなかった訳じゃない、俺の想像だとエロい顔した色っぽいヨシュアがいるはずなんだけど。
奉仕しながら見上げると、満足気に俺を見下ろす大人の顔したヨシュアがそこにいた。
想像と大分違うけどやっぱりこんな顔も胸がきゅんと締め付けられる。
「フフ、そんな甘えた目で見上げてどうして欲しいんだい?」
いい子いい子するみたいに頭撫でられてやっぱり俺完全に女の子扱いだ。
でも喜んでくれるのが嬉しくてもっと頑張ったらヨシュアが小さく溜め息を漏らした。
「ん、そんなに頑張って僕を煽ったら、どうなっても知らないよ」
甘ったるい声でヨシュアが囁く。
するとヨシュアは俺を優しく離すとまるで自分の物の様にベッドに横たわり「おいでよ」と言って自分の隣に空間を開けた。
俺が大人しくそこに収まると待ってましたとばかりに性急に襲われる。
暫く俺の上に乗っかって熱烈なキスをされたと思ったら、急に俺の部屋をきょろきょろと見渡し始めた。
「な、何だよ?」
「ネク君の部屋ローションとか無いの?」
「ある訳ないだろっ///」
何を言い出すかと思えばそんな如何わしい物探してたのかよ!
「ゴムは?」
「そっ///それも無いっ!!」
「うーん、困ったね。ちょっと痛くても我慢してよネク君。」
「え?ちょっ!…うわぁ!」
次は何を始めるのかと思いきや、ヨシュアは俺の両足を開いて股間に顔を埋めると、あろうことか恥かしい場所に舌を這わしてきた。
「止めろって!…う、あ!くすぐったい!」
「うるさいなぁ、ちょっと黙っててよ。」
これがどんな意味を持つ行為なのかくらいは分かるけど、そんな絶対他人に見せられないところ舐めるなんてもう俺の中の色んな常識が音を立てて崩れていく。
しかも膝が頬っぺたに付くくらい体を折り曲げられる恥かしい格好させられて、恥かしい穴とか全部ヨシュアに見られて、さっき意地でも電気消せばよかったと後悔した。
擽ったくて噴き出しそうなのを堪えていると今度は指まで突っ込まれた。
「いってぇ!やだ、もう無理だって///!!」
実際ちょっと痛いくらいで異物感の気持ち悪さだけなんだけど、恥かしさの方が限界で大袈裟に暴れてしまう。
「このくらい大丈夫だよ、すぐ慣れるから我慢してよネク君。」
そう言えばこいつはかなりの玄人だった、俺が照れ隠しでわざと痛がってるのなんてお見通しって訳か。
仕方なくヨシュアにされるがまま歯を食いしばって耐えてると、指がゆっくり俺の中をまさぐってくる。
凄く変な違和感、気持ち悪い。
でも大好きなヨシュアとちゃんとセックスしたいから我慢して耐えた。
「ここ、気持ち良くない?」
そう言ってヨシュアが奥の方を刺激した途端、体がびっくりして軽く跳ねるほどの衝撃が走った。
「あっ///」
肝心なとこ触ってないのにイク瞬間みたいな気持ちよさ。
あんなの一瞬しか感じられないものだと思ってたのにヨシュアがそこを攻め続けるから、ずっとイク瞬間みたいな気持ちよさが俺の体を支配する。
穴に指突っ込まれて変な声上げるなんてそれこそまるで女の子じゃないか、でもどうしよう気持ちいい、おかしくなりそうだ。
次第に圧迫感が強くなってきて入り口がひりひりと痛み出したからヨシュアが指の数増やしてるんだろうけど、恥かしいから何本入ってるかなんて知りたくない。
「初めてだったら二本入れば上出来だよネク君。」
知りたくないって思った傍からこんな事言われてもう俺恥かしくて消えてしまいたい。
ヨシュアが濡らした唾液で俺のあんな所からぐちゅぐちゅ音まで立てるから耳まで塞いでしまいたくなる。
もう色々と限界が来そうな頃急に指が引き抜かれて、変わりにもっと熱いものが入り口に当てがわれた。
「ま、待てっ///まだ準備がっ///」
「準備ならばっちりしたから大丈夫だよ、ちょっと痛いけど我慢してよ?」
ヨシュアがフッと笑ったと思ったら激痛と共に凄い圧迫感に襲われた。
「痛てっ!無理っむりっ!!」
痛くてバタつかせた足を肩に担がれて、騒ぐ口は誤魔化すようにキスで塞がれてヨシュアは俺の中に進入し続ける。
その内ゆっくり腰まで振り出すから耐えられなくてヨシュアの背中にしがみ付いた。
「う…んっ」
辛くて泣きたくなったけどヨシュアのキスが凄く優しいから頑張って耐えた。
やっぱり俺の事好きになって欲しいしがっかりされたくないし。
ヨシュアの背中は思ったより大きくて汗ばんでいた。
熱くて興奮してるのかと思ったらなんだか嬉しくてもう一度ぎゅっとしがみ付き直した。
「ネク君、大丈夫かい?」
「そんなことっ…いちいち聞くなぁっ…んっ」
「僕は大丈夫じゃないよ、ネク君の中気持ちよすぎて、すぐイっちゃいそうなんだけど…」
切ない顔してそう言ったヨシュアはやっぱり綺麗でヤバイくらい胸がきゅんとする。
あーもう俺乙女でも何でもいい、大好きだったヨシュアとまさかのセックスしてる、なんて幸せなんだろう。
胸をドキドキさせながらそんな幸せに浸ってたら気付いたら痛いのや気持ち悪いのなんか忘れていて、変わりに指入れられた時みたいな変な気持ちよさが襲ってきた。
ヨシュアが俺の体を横向きにして片足だけ肩に担いだ体位に変えると、さっきよりも感度が増して俺の口からは狂った様に甘い声が出る。
「あっ…うぁ…や、だ…あっ」
「フフっ、嫌なら止めようか?」
そんな俺をヨシュアは楽しそうに見下ろしている。
再び正常位でやられていると今度は乳首まで一緒に攻められた。
最初よりも感覚が敏感になっている今、そんな愛撫さえも俺を狂わせていく。
「あっ…やっ、もう…んぁ」
もう限界だ、気持ち良過ぎる、何だこれ俺の体どうなってんだよ!
次第に頭が真っ白になっていく感覚がして気持ちよさの波が下半身に集中していく。
「どうしたの、ネクくん。こっちも触って欲しいのかい?」
ヨシュアが俺を焦らす言葉を発した頃、信じられないけれど俺は中だけの刺激でイってしまった。
「ん、あっ…あぁ!」
数回体を震わせながらヨシュアのものまでも締め付けて、俺の顔や胸に自分自身の熱い精液が降りかかっていく。
「ふ…ご、ごめ…///」
何を誤っているのか自分でも良く分からないくらいまだ頭がぼうっとする。
ヨシュアは目を丸くして精液まみれの俺を凝視している。
嫌だ、見るな!こんなの恥かしいっていうか寧ろ情けない。
「ネク君そんなに気持ちよかったの、僕嬉しいよ…」
ヨシュアは本当に嬉しそうに笑って俺の顔に散らばってる精液を舐め取ると「かわいい」と小さく囁いて再び俺の中を揺さぶった。
さっきより激しくてなんか固さも増している、ヨシュアも限界なんだと察したら愛しくなって精液まみれの体で抱きついてやった。
「んっ…ネクくん、イクよ…」
「アっ…んっ、よしゅ、あ」
激しかった振動がぱたりと止まって俺の中でびくびくとヨシュアが震える。
え、これって中出しだよな?とか思ったけどもうそんなのどうでもいいほど心身共に限界が来ていた。



あれから眠ってしまったのだろうか、遠くでヨシュアの話し声がして次第に目が覚めていった。
部屋は真っ暗で電気は消されているらしい。
異常にベッドの中が暖かいと思ったら隣には裸のヨシュアがいた。
「うん、さすが羽狛さん、物分りいいね。」
羽狛さんという言葉で一気に脳が覚醒する。
ヨシュアとこんな関係になった今羽狛さんの存在は俺にとってはかなりの不安要素だ。
何で俺とこんな事した後に電話してるんだよ!
醜い嫉妬で体が熱くなってきて胸が締め付けられるように痛くなる。
しかしヨシュアの様子でそれも直ぐに治まっていった。
「じゃあね羽狛さん、今までありがとう。うん、そうだね、羽狛さんも早く彼女作りなよ。じゃあね。」
どうやら羽狛さんの事を清算させてくれたらしい。
安心して胸を撫で下ろしたら嬉しくてヨシュアに抱き付きたい衝動に駆られたけれど、もう暫く寝た振りを続けた。
それからヨシュアはそれぞれのパトロン達に次々と別れの挨拶を告げていく。
あっさりした様子にそこに愛は無かったのだと確信して少し切ない気持ちになった。
いつか自分にもこんな風に別れを告げられる時が来るのではないかという下らない不安が頭を過ぎる。
メグミ君って奴と電話している時は流石のヨシュアも大分苦戦していた。
相当ヨシュアに入れ込んでたんだな、哀れな奴だ。
一通り電話を終えてヨシュアは疲れた様に大きなため息を吐いた。
そうして携帯を閉じて床に投げ捨てると俺の方に擦り寄ってきて愛しそうに抱き締めてくる。
寝たふりしてそんな様子を実感したらさっきの小さな不安なんか消し飛んでいった。
だってさっきあのメグミ君って奴に「大好きな恋人が出来たからもう会わないよ」って言ってくれたんだぜ。
俺恋人だって、信じられないよ、神様ありがとう。


高峰にあった花は今俺の手元で一層綺麗に咲き誇っている。
皆の姫だったこいつも今は俺だけのちょいサドな王子様だ。
付き合ったら我が侭言われ放題だと思いきや、意外と優しくて驚いた。
ちょっと嫉妬深いところや、やたら性欲旺盛なところはたまにうんざりする時もあるけれど、こんなヨシュアはきっと俺以外誰も知らないだろうから嬉しかったりもする。
ここに居るのは恋してる俺だけのヨシュア。


「ネク君、この桜の下覚えてるかい?」
「と、当然だろ///」
「ここでネク君が告白してくれたんだよね、フフっ、折角の思い出の場所だしここで新しい思い出作ろうよ♪」
「は?え、おい!何やってんだよ//そんなとこ、触るなぁ!」



長い冬を越えて一斉に咲いた桜の花と共に俺にもやっと春がやって来たのだった。









END










春らしい話を書こうと思ったんですがエロが無駄に長すぎて春らしさあまり目立たずな話になってしまいました…。
前回シリアスちっくなのを書いたので今回はめっちゃ可愛らしい話にしたくて頑張りましたがどうでしょうか。
ネクの一人語りが多すぎてなんかギャグちっくになってますww
タイトルの野に咲くすみれはネっ君の事です。
ヨシュアにとって言い寄ってきた男達の中で唯一ネっ君が野に咲くすみれみたいな乙女に見えたと言うオチで許してやって下さい!!
よく考えたらネクの片想いから始まる話書いたの初めて!
大抵両思いかヨシュア⇒ネクなので珍しいですこれ!
そしてエロが半分も占めてます!
とにかく春らしくて可愛らしいみたいなのが伝われば幸いです!